桜色迷宮24
「合宿の参加者名簿、誰が持ってる?」
「朱音ちゃんが持ってるよね。オレ渡した」
「持ってきました。……今年は多いですね。50人もいますよ」
「ミユキちゃん人気でね。良かったな、小池。花火屋の里子もいるぞ。お前のお気に入り」
「でも里子先輩もミユキちゃん目当てだろ? オレショックでかい」
「お前の人気、確実に落ちたもんな。こっちは見てておもしろいけど」
「熊野先輩、いぢめないで下さいよ」
 以前よくあたしをからかっていた熊野先輩は、最近は美幸先輩の猛反発にあって、あたしにちょっかいをかけなくなっていた。美幸先輩が言ったとおり、熊野先輩よりも美幸先輩の方が強かったみたい。そのかわりに熊野先輩は小池先輩をからかい始めていて、あたしはちょっとだけ小池先輩が気の毒に思えた。
「いじめておもしろい奴がほかにいないからな」
「朱音ちゃんもオレのこといじめるし、会長はオレをおとしいれるし、一枝はからかうし、味方はお前だけだ西村ぁ!」
「悪いけど、小池の側についてもメリット少なそうだから遠慮させてもらうよ。オレは気ままな一匹狼」
「そんな……オレ絶望的」
 ぺたっと机に貼り付いた小池先輩に、救いの手を差し伸べたのは美幸先輩だった。
「小池、僕は君の味方だよ」
「ほ……ほんとか?」
「ただし、一二三ちゃんをからかわないって条件つきだけど」
「ありがとう、心の友よ!」
 美幸先輩と小池先輩の2人がガッチリ手を握りあい、見つめあっているところで、会長が生徒会室のドアをあけた。