真・祈りの巫女304
 シュウと連れ立って守りの長老宿舎へ行くと、中には守りの長老と守護の巫女、そして既にタキと探求の巫女が来ていた。
「おはよう守護の巫女、守りの長老」
「おはよう、祈りの巫女。……ねえ、どうしてパートナーを交換してきたりするの? 私さっきあなたと探求の巫女を間違えちゃったわよ。悪ふざけのつもり?」
「あ、ごめんなさい! そんなつもりじゃなかったの。ちょっとした経緯があって……」
「嘘よ。ちょっと言ってみただけ。その経緯についてはタキに聞いたわ。祈りの巫女はいつもの席について、シュウは探求の巫女の隣に」
 あたしはいつもの席、守護の巫女とタキとの間に座った。シュウはちょっとためらいながら探求の巫女が座った席まで歩いていく。そこは守護の巫女と守りの長老の対面で、1番離れているから小声で話すとこちらにはまったく声が聞こえなくなるんだ。探求の巫女は下を向いてシュウの視線を避けていたけど、シュウが誤解を解こうと必死で話しかけているのは様子で判った。
「タキ、探求の巫女を連れてきてくれてありがとう。変な役を押し付けちゃってごめんなさいね」
「いや。オレが話しかけた頃にはずいぶん落ち着いてたから楽だったよ。……神殿の石段に座ってたんだ、彼女。もしかしたらシュウに追いかけてきて欲しかったのかもしれないね」
 だとしたらまた少しへそを曲げちゃったかな。あたしでも、リョウと喧嘩したときにはやっぱりリョウに追いかけてきて欲しいもん。
 それから続々と巫女や神官たちが集まり始めたから、あたしとタキの会話もそれきりになっていた。リョウがやってきたのはほとんど最後の方で、探求の巫女から空席を1つはさんだ斜め前に座ったの。声をかけたあたしには手を上げて答えてくれたけど、探求の巫女のことは無視しているようで、そちらをちらりとも見ようとはしなかった。
 探求の巫女はじっとリョウの横顔を見つめている。……やだ、やめてよ。リョウはあたしの婚約者なんだよ。あたしのリョウをそんな目で見ないでよ。
「みんな揃ったようね。それじゃ、会議を始めるわ。まず初めに紹介しておくわね。私の正面にいるのが探求の巫女のユーナとシュウ。シュウは探求の巫女の左の騎士と名乗っているわ」