真・祈りの巫女303
 シュウは3人の間にあった出来事をポツリポツリと話してくれた。そもそもシュウと探求の巫女とが再会したのは旅を始めた直後で、今から1ヶ月くらい前。すぐにお互いが幼馴染だということが判ったから一緒に旅をすることにしたんだって。その旅の途中で時々トツカとすれ違った。シュウは1人でトツカに会いに行って、そのときにトツカが探求の巫女の幼馴染だったことを知ったんだ。シュウはトツカを一緒に旅をしようと誘ったんだけど、トツカはそれを断って、更に探求の巫女に自分のことは話さないで欲しいとシュウに頼んだの。
 だから探求の巫女はトツカが幼馴染のリョウだってことを知らないで、やがてシュウと探求の巫女は恋人同士になった。……シュウはもしかしたら、探求の巫女にトツカのことを話したくなかったのかもしれない。トツカにそう頼まれたからだけじゃなくて。探求の巫女もそれを感じたからシュウのことをあんなに怒ったんだ。
「 ―― ユーナはいつもはあんな過激な怒り方はしない人なんだ。……オレ、完全に嫌われたかも」
「そんなことないわ。誤解やすれ違いなんてよくあることだもん。じっくり話し合えば探求の巫女も判ってくれるよ」
「だけどさ、黙ってるようにトツカに頼まれたことはオレしか知らないことだから、ここにトツカがいない以上ユーナに証明するなんてできないんだ。だいたいオレにだってトツカがそう言った本当の理由なんか判らないし。……もしもユーナがオレの話を信じてくれたとしても、それならトツカがユーナと会いたくなかったってことだろ? 余計にユーナを落ち込ませちまうよ」
 シュウの中にはいろんな感情があるんだ。トツカを邪魔に思ってたのも本当だし、トツカに助けられたことを感謝していて、心配していたのも本当。探求の巫女とトツカを会わせたくないと思っていたけど、それで探求の巫女が落ち込んじゃうのも嫌なんだ。そして、そんな自分の感情をぜんぶ素直に見せてくれる。……探求の巫女、あたしを羨ましがることなんかないよ。だってあなたはこんなにシュウに愛されてるんだもん。
  ―― リョウを守らなくちゃ。だってあたしにはリョウしかいない。あたしは、リョウを探求の巫女に奪われたくなんかない。
 そのためには早くこの2人に仲直りしてもらわないといけないよ。……だってリョウは ――
「……そろそろ会議に出かける時間になると思うわ。あたしカーヤに断ってくる」
 そう言ってシュウを残してオミの部屋へ行くと、オミと小声で話していたカーヤはちょっとばつが悪そうに目をそらした。