真・祈りの巫女282
 守護の巫女が真っ先にあたしを呼んだのは、1番大きな理由は2人のうちの1人があたしにそっくりだったからだろう。同じくらいの重みで、あたしが守護の巫女に次いで2番目の地位を持つ祈りの巫女だったこともあると思う。でも理由はそれだけじゃない。守護の巫女はリョウのことを思い出したんだ。あたしの祈りでとつぜん神殿に現われたリョウのことを。
 自分が本当は何を不安に思っているのか、あたし自身にも判っていなかった。だけどあたしはリョウを守らなくちゃいけない。予期せぬ出来事に混乱した頭の中で真っ先に思ったのはそのことだったの。
「さあ、起きて。あなたはいったいどこから来たの? あなたはどこの誰? 目を覚ましてあたしたちに教えてちょうだい!」
 あたしはまず、あたしによく似た女の子に声をかけながら、身体を強くゆすった。彼女は本当に眠っていただけだったみたい。何度か声をかけて身体をゆすっているとだんだん目を覚ましてきたの。いきなりあたしの顔を見たら驚くかもしれないな。でも、そんなことを思ったのは、彼女が目を開けてからだった。
「目が覚めた?」
「ん……かがみ……?」
 あたしは彼女の言葉と口調に笑いを誘われて、思わず吹き出しそうになっていたの。あたしが表情を変えたからだろう。急に驚いたように彼女は身体を起こしてあたしを穴の開くほど見つめた。それから周りをきょろきょろ見回して、隣に倒れている男の人を見つけたみたい。彼の身体を勢いよくゆすり始めたんだ。
「シュウ! 起きてよ! シュウ!」
 彼女はほとんど力加減というものをしなかったから、肩を掴まれた男の人はゆかにガンガン頭をぶつけてた。その扱いではとうてい眠ってる訳にはいかないよ。うめきながら身体を起こして、まずは彼女を見て言った。
「……いってえよ。いったいなんだって……。え……?」
 彼女の、ほとんど泣き出しそうなほど混乱した表情を見て、彼もある程度自分たちが置かれた状況の異常さに気がついたようだった。周りをゆっくりと見回して、やがてあたしを見つけたところでぴたっと視線を止めた。