真・祈りの巫女233
 祈りの道具をカーヤに手渡して、リョウとタキと一緒に村へ行くことを簡単に告げたあと、再び宿舎を飛び出した。2人は約束どおりその場を少しも動かないで待っててくれる。あたしが追いつくと、タキは片手を上げて微笑んでくれたけど、リョウはくるっと背を向けて歩き始めてしまったの。
「お待たせ。ところでどこへ行くの?」
「村の狩人の家だよ。リョウがね、どうしても日が落ちる前に狩人を集めたいって言って。詳しいことはこれから聞くところ」
「ふうん。それじゃ、守りの長老との話し合いがうまくいったのね。そうなんでしょう、リョウ?」
「……ああ」
 リョウはあたしの方を見もしないで、ぶっきらぼうにそう答えただけだった。……どうしたんだろう。さっきまではもうちょっと打ち解けてくれてたはずなのに。あたしが一緒に来たのが気に入らなかったのかな。
 そう思って、それきり話せなくなってしまうと、リョウはタキの方を向いて話し始めた。
「村の狩人は何人くらいいるんだ?」
「20人くらいかな。正確には数えたことがないけど、でも住んでるところはだいたい判るよ。ぜんぶの家を回るつもり?」
「ほかに何か連絡する手段はあるのか?」
「そうだね。……狩人は獲物があれば、家に帰る前になじみの店に獲物を納品する。そこを押さえておけばかなりつかまるはずだけど」
「だったらそこを先に押さえる。あとは地道に村を回るしかないだろう」
「そろそろ聞かせてくれよ、リョウ。いったいどうして狩人を集めるんだ? 守りの長老と何を話したんだ?」
 タキの問いに、ひとまずリョウはたった一言で答えた。
「影の殺し方を教える」
「……影の殺し方? ……どうしてそれを? 自分が死んだときの記憶がよみがえったのか?」
 リョウは首を横に振って、あたしに話したのと同じことをタキに話し始めたの。