真・祈りの巫女189
 タキはすごくたくさん気を遣ってくれてる。あたしでは到底処理できないさまざまな細かいことまで、タキは背負ってくれてるんだ。
「あたし、このところ祈りをサボってたから、食事が終わったらまた祈りに行くわ。その時にオミのことも祈ってくる。早く元気になってもらわなかったら、カーヤが楽できないもん」
「まあ、あたしのことはいいんだけどね。あんまり長い間寝たきりだと、病人は不安になるわ。ユーナが励ましてあげるだけでもずいぶん違うのよ。祈りに行く前に一言だけでも声をかけてあげて」
「判ったわ。……オミ、そんなに不安そう?」
「最近ちょっとね。よく考え事をしてるみたいなの。あたしが訊いてもなにも言わないけど、ユーナになら話すかもしれないわ」
 そう言ったカーヤは微笑を浮かべてたけど、少し切なそうにも見えたの。きっとカーヤもいろいろなことを思ってるんだ。だって、カーヤにとってオミは初対面の他人で、ただでさえ打ち解けるのに時間がかかるのに、オミは怪我をして動けないでいるんだもん。
 食事の間、カーヤは夕方タキが話していったことを中心に、主に影の動向についてあたしに話してくれた。会議の詳しい内容は明日直接話してくれることになってたけど、カーヤが知ってて差し支えないことについては、カーヤを通してあたしにも知らせてくれたんだ。
 影は3日後の夜にまた現われる。その時刻にあたしはまた神殿で祈りを捧げることになっていて、でもリョウはまだ村に降りなくていいって。それを聞いて、あたしは心の底からほっとした。
「タキは本当によく働いてくれるわね。あたし、タキがユーナの傍にいてくれるから、とても安心していられるわ」
 カーヤがそう言ったとき、あたしは不意にその可能性に気がついたの。どうして今まで気づかなかったんだろう。タキもカーヤも、すごく優しくていい人だったのに。
「ねえ、カーヤ。カーヤはタキのことをどう思うの?」
「どうって? 親切ないい人だと思うわよ。責任感も強いし、タキがいればユーナもずいぶん心強いと思うわ」
「そうじゃなくて、1人の男性としてよ。あたし、カーヤの恋人にはタキがぴったりだと思うの」
 あたしが言うと、カーヤは驚いて動きを止めてしまった。