真・祈りの巫女43
 マイラのためにたくさん泣いた。
 あたしがシュウを死なせてしまったせいで、たくさんの悲しみを背負ってしまったマイラのために。
 マイラ、あなたは本当にあたしを許してくれていたの?
 シュウ、あなたは本当に、あたしを許してくれていたの……?

 リョウの胸を涙でぐっしょり濡らして、リョウが貸してくれたハンカチで鼻をかんで、台所で顔を洗ってようやく落ち着いてきた。カーヤが言っていた通りテーブルには朝食の用意がしてあって、あたしの席とリョウの席に一人前ずつ置いてある。お腹は空いているはずだけど、なんだか胸がいっぱいで食べられる気がしなかった。あたしが泣いている間ずっと立ったままだったリョウも、顔を洗って戻るとあたしを椅子に促して自分も椅子に腰掛けていた。
「カーヤが神殿の炊き出しからオレの分も用意してくれたんだ。ユーナも朝食はまだだろう?」
「……炊き出し?」
「ああ。今神殿にはたくさん人が出入りしていて、神官のほとんどは自分の食事を用意する暇もなく働いてるから、巫女が協力していつでも誰でも食べられるように炊き出ししてくれてるんだ。ほら、小屋を作ってるきこりたちにも」
 そうか、あたしにはタキが専門についてくれたから、カーヤはあたしの世話をする代わりにそっちの仕事を任されたんだ。
「タキはどうしたかな。さっき村へ行ってくれるように頼んじゃったの」
「自分の食事の世話くらいできないような男は男じゃない。炊き出しはここだけじゃないからどこかで勝手に食べてるだろ。……ユーナ、オレと一緒にいるときは他の男のことは考えるなよ」
 リョウはちょっと乱暴にあたしの髪をかき混ぜて、拗ねたみたいに視線を外してしまった。あたし、リョウがすごくかわいく見えて、思わず笑顔が漏れていたの。それで気がついた。たくさんの悲しみがあって、たくさん泣いたけど、リョウがいるだけであたしは笑顔になれるんだ、って。