真・祈りの巫女22
 オミはあたしのことや自分のことをそれほど真剣に考えてるようには見えなくて、変な先回りをした分、あたしは少し拍子抜けしてしまったみたい。あたしはいつもリョウとばかり話しているから、そんな気がする、ってだけで行動しちゃうオミみたいな人と話すのに慣れてないのかな。久しぶりに話すオミはすごく新鮮で、まるで小さな頃から一緒に育ってきた弟とは別人みたいよ。オミはこれから、あたしが今まで接したことがないような、不思議な大人になっていくのかもしれない。
「ねえ、ガラス細工って楽しいの?」
「楽しいよ。オレはまだ腕の力が足りないから、気を抜くとすぐにいびつになっちゃうんだ」
「なんで? それが楽しいの?」
「ユーナには判らないよ。オレも神様に祈るなんてことのなにが楽しいのか判らないもん」
「あのねえ、オミ。あたしが神様に祈ったら、みんなが幸せになれるのよ。みんなが幸せになれるってすごく嬉しいことじゃない。このところやっと願いが神様にすんなり通じるようになってきたのよ。前は1つのことを何ヶ月も祈って、やっと願いがかなったんだから」
「ふうん」
 オミはちょっと足を止めて、あたしの顔をまじまじと見つめた。
「それじゃおんなじだよ。オレも最近やっと少しだけマシなものが作れるようになってきたんだ。ユーナも一生懸命やって上達するのが楽しかったんだね」
 そんなの、あたりまえだって思ったけど、オミはしきりに感心していたの。オミは今まで、あたしがどうして祈りの巫女になったのか、判ってなかったの?
「もしかしてオミって、今まであたしの仕事のこと誤解してた?」
「してたかもしれない。ずっとユーナは変なことをしてるって思ってたから。ユーナの仕事が普通の仕事と同じで、村の人の役に立ってるなんて思ってなかったんだ」
 そんなオミの言葉を聞いて、あたしは身体の力が一気に抜けたような気がした。