続・祈りの巫女56
「だったらリョウは誤解しているわ。だってリョウ、言ってたもの。ユーナはまだ自分の事をそういう風には見てないだろう、って」
 ……どうして? だって、あたしはずっと言ってたよ。リョウのことが大好きだ、って。リョウだってずっと判ってるって言ってくれてたのに。
「それからこうも言ってたわ。もしもユーナに好きな人ができたら、その人がユーナを幸せにできる人なら、ユーナの気持ちを尊重する、って」
 ……それ、あたしも前に聞いたことがあるよ。12歳のときにあたしが訊いた言葉。もしもあたしが他の人と結婚したら、リョウはその人とあたしと、両方守ってくれるんだ、って。
 リョウの気持ちはあの頃と変わってないんだ。あたしはどんどんリョウのことを好きになってるのに、リョウにとっては、あたしはまだ小さな女の子のままなんだ。
「カーヤ、あたし、リョウに好かれてないのかな」
 そう言ってしまってから、あたしはカーヤがリョウに断られたばかりなんだってことを思い出した。こんなこと、今カーヤに相談することじゃないのに。
「ごめんなさいカーヤ! 今のなしにして!」
「いいわよ。あたしはずっと考えてきて、こうしてユーナと話してみて、やっぱりリョウのことは諦めなきゃいけないんだって判ったから。……あたしにはね、リョウのことはよく判らないけど、もしかしたらリョウはとても自分に自信がないのかな、って、そんな風に思えたの。もしもね、ユーナがこれからずっと、リョウと一緒に生きていく決心があるなら、あたしはユーナの方から告白した方がいいと思う。ユーナのそういう気持ちをきちんとリョウに伝えなかったら、リョウはずっと誤解したままかもしれないわ」
「あたし、リョウに言ってるのよ。リョウのことが大好きだ、って。今日もちゃんと言ってきたのよ」
「それもたぶん伝わってないわ。賭けてもいい。……自分では判らないのね。ユーナはね、そういうことが相手に伝わりにくい人なのよ」
 あたしには、カーヤが言う「相手に伝わりにくい人」という意味がぜんぜん判らなくて、首をかしげた。