2002 09/08 22:37
Category : 日記
「カーヤ……?」
あたしはちょっと不安に思いながら、ドアを入って、とりあえずテーブルの上にかけてある灯りに火を入れた。それからカーヤの寝室をノックする。返事はなくて、だから念のためと思ってドアに手をかけて、ゆっくりと開いていった。この部屋も真っ暗だったけど、ベッドの上にかすかに人の気配を感じたから、あたしは部屋に一歩踏み入ってまた声をかけた。
「カーヤ? いるの?」
返ってきたのは、あたしにはぜんぜん予想できない言葉だった。
「入ってこないで!」
あたしはただ驚いてその場に立ち尽くした。思いもかけない、カーヤの鋭い声。しかもカーヤのその声はまるで泣き声のようだったの。あたしはしばらく絶句してしまって、そんな、緊張をはらんだ沈黙の中に、やがてかすかにカーヤのすすり泣きが聞こえてきた。カーヤに何かあったんだ。あたしも心臓がドキドキしてきて、でもとりあえず何があったのか聞き出さなきゃと思って、恐る恐るカーヤに声をかけていた。
「カーヤ、どうしたの? ……何かあったの?」
カーヤは、もしかしたらずっと泣いてたのかもしれない。しゃくりあげているような声で言ったの。
「……ごめんなさい、ユーナ。あなたが悪いんじゃないって判ってる。リョウが、あたしのこと、なんとも思ってなくたって、それは仕方がないことなの。だって、あたしが勝手に好きになったんだもの。でも、あたし、判ってるけど、今はユーナの顔を見たくない。お願い、ユーナ、出て行って。このままだとあたし、ユーナにひどいことを言いそうだから……」
ベッドに顔を伏せたまま、カーヤは途切れ途切れの言葉で、そう言った。
カーヤは、リョウのことが好きだったの? あたしには何も言わなかったけど、カーヤはずっとリョウのことを見ていたの?
今日、リョウがここへ来て、カーヤはリョウに告白したんだ。そして、リョウはカーヤを断ったんだ。
知らず知らずのうちに、あたしは宿舎を飛び出していた。そして、リョウの家へ向かう坂道を駆け下り始めたんだ。
あたしはちょっと不安に思いながら、ドアを入って、とりあえずテーブルの上にかけてある灯りに火を入れた。それからカーヤの寝室をノックする。返事はなくて、だから念のためと思ってドアに手をかけて、ゆっくりと開いていった。この部屋も真っ暗だったけど、ベッドの上にかすかに人の気配を感じたから、あたしは部屋に一歩踏み入ってまた声をかけた。
「カーヤ? いるの?」
返ってきたのは、あたしにはぜんぜん予想できない言葉だった。
「入ってこないで!」
あたしはただ驚いてその場に立ち尽くした。思いもかけない、カーヤの鋭い声。しかもカーヤのその声はまるで泣き声のようだったの。あたしはしばらく絶句してしまって、そんな、緊張をはらんだ沈黙の中に、やがてかすかにカーヤのすすり泣きが聞こえてきた。カーヤに何かあったんだ。あたしも心臓がドキドキしてきて、でもとりあえず何があったのか聞き出さなきゃと思って、恐る恐るカーヤに声をかけていた。
「カーヤ、どうしたの? ……何かあったの?」
カーヤは、もしかしたらずっと泣いてたのかもしれない。しゃくりあげているような声で言ったの。
「……ごめんなさい、ユーナ。あなたが悪いんじゃないって判ってる。リョウが、あたしのこと、なんとも思ってなくたって、それは仕方がないことなの。だって、あたしが勝手に好きになったんだもの。でも、あたし、判ってるけど、今はユーナの顔を見たくない。お願い、ユーナ、出て行って。このままだとあたし、ユーナにひどいことを言いそうだから……」
ベッドに顔を伏せたまま、カーヤは途切れ途切れの言葉で、そう言った。
カーヤは、リョウのことが好きだったの? あたしには何も言わなかったけど、カーヤはずっとリョウのことを見ていたの?
今日、リョウがここへ来て、カーヤはリョウに告白したんだ。そして、リョウはカーヤを断ったんだ。
知らず知らずのうちに、あたしは宿舎を飛び出していた。そして、リョウの家へ向かう坂道を駆け下り始めたんだ。