続・祈りの巫女36
 マイラを幸せにしてくれる赤ちゃん。あたしが神様に祈って、それで生まれた命。この子はシュウよりもずっと幸せになる。その子の名前はライ。
「ライ……。すごくいい名前よ、マイラ」
「ありがとう。実はね、この名前を披露するのはユーナが初めてなのよ」
「そうなの?」
「ええ、今日ユーナが来てくれて嬉しいわ」
 マイラは本当に嬉しそうに微笑んでくれた。マイラはもう、ぜったいに悲しい笑顔なんか見せないよね。あたしは、本当にマイラを幸せにすることができたんだ。
「マイラ、少し若返ったみたいよ」
「あら、ほんと?」
「うん、ちょっときれいになったみたい」
「いやだ。ユーナもいつの間にかお世辞が言えるようになったのね」
「お世辞なんかじゃないわ。きっと誰でも思うもの。マイラはライが生まれたらすごくきれいになった、って」
 本当にきれいだと思ったの。子供が生まれると、女の人はみんなマイラみたいにきれいになるのかな。あたしも、子供が生まれたら、マイラみたいにきれいな女の人になれるのかな。
 そんなことを想像して、あたしはまたリョウのことを思い出して、少し顔を赤くしてしまった。
「この次はユーナの番ね。……ユーナはいつ結婚するのかしら?」
 マイラの言葉は、まるであたしの心の中を覗いているみたいだった。
「もうそんな遠い未来じゃないのよね。あと何年かたつと、ユーナも結婚して、やがて子供が生まれる。ユーナがお母さんになるのよね」
 あたしは顔を赤くしたまま、しばらく答えることができなかった。