続・祈りの巫女11
 狩人のリョウは真っ黒に日焼けしていて、17歳でもう一人前の男の人だった。リョウと2人きりになると、なんだか少し怖い気がするの。それは1年前には感じてなかったことだった。リョウはいつもすごく優しかったのに、そんなリョウを怖いと思うのは少し変な気がした。
 セーラのジムもセーラより何歳か年上だった。彼女はジムを怖いと思ったことがあるのかな。セーラは気が強い子だから、あたしがリョウに思うような気持ちはなかったのかもしれない。
「それで? 神託の巫女の予言は聞けたの?」
 あたしはリョウにその時の様子をかいつまんで話した。神託の巫女の予言の様子や、マイラとベイクの幸せそうな顔。それから、帰り道で神託の巫女が言った、あたしがいずれ知らなければならないことがあるってこと。
 あたしはそうしてほとんど毎日、リョウにその日起こった出来事を話してきた。この1年余りの間、2日とあけずに。
「なんかね、神託の巫女があたしに言おうとしてることって、すごく嫌なことのような気がするの。ねえ、リョウ。マイラは幸せになれないの? あたしはただマイラに幸せになって欲しいだけなのに」
「どうして幸せになれないなんて思うんだ? 祈りの巫女が1年も祈って、願いはかなえられたんだろ? もっと自分と神様を信じなよ。だいたい神託の巫女が言ってた事だって、マイラのこととは限らないじゃない。予言に嘘がないならマイラの子供は幸せになるよ。子供が幸せならマイラだって幸せだよ」
「……うん、そうよね。あたしもリョウの言うとおりだと思う。神託の巫女の話だって、聞く前からあれこれ考えてもしかたないよね」
「そうだよ。……やっとユーナらしくなったな」
 そう言って、リョウはまたあたしの頭をなでた。あたしの気持ちは少しだけ軽くなってたけど、リョウが言うようにいつものあたしらしくはまだなってない気がした。
 物語を読んでいると判る。祈りの巫女が生まれる時代には、必ず何かの災いがあるんだってこと。その災いはいつも避けられてきたけれど、あたしがその災いを避けることができるかどうかなんて、まだ誰にも判らないんだ。