2002 07/19 05:41
Category : 日記
じっとあたしを見つめていたリョウは、このとき少しだけ目を細めた。
「……なんか、今日のユーナはきれいすぎて困るな」
リョウ……あたしのこと、きれいだって言ってくれたの……?
「ほんと? ほんとにそう思う? 今日のあたしはきれいだ、って」
リョウは少し照れたみたいに目を伏せて、そのあと少し微笑んで、あたしの髪にもう一度花冠をかぶせてくれた。
「儀式も見てくれてた?」
「ちゃんと見てたよ。……あ、だけどオレは儀式の艶姿に騙された訳じゃないからな」
そう言い捨てるみたいに言って、立ち上がったリョウは両腕を伸ばして、森の空気を身体いっぱいに吸い込んだ。
―― リョウは森の中に家を建てる。あたしはリョウの家を想像して、でも森の真ん中にある家なんて、あたしには想像ができないんだ。いったいどんな家になるんだろう。完成したら、あたしもちゃんと中に入れてもらえるかな。
「そうだ。あたし、リョウにありがとう、って言おうと思ってたの」
リョウはあたしを振り返って、少し不思議そうな顔をした。
「……なに?」
「あたしを助けてくれたこと。森の沼から助けてくれて、命を助けてくれてありがとう。それからね、あたし、祈りの巫女になってやりたいこと、リョウのおかげで見つけたの。あたし、マイラを幸せにしてあげたいの」
あたしの言いたかったこと、リョウに伝わったのかな。リョウは微笑んでくれて、しゃがんであたしの頭に手を乗せた。花冠が乗った頭に。
「マイラを幸せに、か。見つかってよかったな。でもそれを見つけたのはユーナ自身だろ? オレは何もしてないさ」
そうなのかな。リョウがそう言ったから、あたしもなんとなくそうかもしれないって思って、それ以上何も言えなくて、少しの沈黙が流れた。サワサワって葉ずれの音が聞こえる。リョウがこれから住む場所は、すごく静かで、すごく優しい場所だ。
あたしは、さっきリョウが言った言葉を思い出して、ここにリョウと一緒に住めたらすごく楽しいだろうな、って、ただそれだけを思っていた。
「……なんか、今日のユーナはきれいすぎて困るな」
リョウ……あたしのこと、きれいだって言ってくれたの……?
「ほんと? ほんとにそう思う? 今日のあたしはきれいだ、って」
リョウは少し照れたみたいに目を伏せて、そのあと少し微笑んで、あたしの髪にもう一度花冠をかぶせてくれた。
「儀式も見てくれてた?」
「ちゃんと見てたよ。……あ、だけどオレは儀式の艶姿に騙された訳じゃないからな」
そう言い捨てるみたいに言って、立ち上がったリョウは両腕を伸ばして、森の空気を身体いっぱいに吸い込んだ。
―― リョウは森の中に家を建てる。あたしはリョウの家を想像して、でも森の真ん中にある家なんて、あたしには想像ができないんだ。いったいどんな家になるんだろう。完成したら、あたしもちゃんと中に入れてもらえるかな。
「そうだ。あたし、リョウにありがとう、って言おうと思ってたの」
リョウはあたしを振り返って、少し不思議そうな顔をした。
「……なに?」
「あたしを助けてくれたこと。森の沼から助けてくれて、命を助けてくれてありがとう。それからね、あたし、祈りの巫女になってやりたいこと、リョウのおかげで見つけたの。あたし、マイラを幸せにしてあげたいの」
あたしの言いたかったこと、リョウに伝わったのかな。リョウは微笑んでくれて、しゃがんであたしの頭に手を乗せた。花冠が乗った頭に。
「マイラを幸せに、か。見つかってよかったな。でもそれを見つけたのはユーナ自身だろ? オレは何もしてないさ」
そうなのかな。リョウがそう言ったから、あたしもなんとなくそうかもしれないって思って、それ以上何も言えなくて、少しの沈黙が流れた。サワサワって葉ずれの音が聞こえる。リョウがこれから住む場所は、すごく静かで、すごく優しい場所だ。
あたしは、さっきリョウが言った言葉を思い出して、ここにリョウと一緒に住めたらすごく楽しいだろうな、って、ただそれだけを思っていた。