祈りの巫女14
「でも、リョウにしたい事があって、その気持ちをその子が判ってくれたら、その子も許してくれると思う。最初はちょっと怒っても最後にはぜったい許してくれるもん。友達だったらリョウのことちゃんと判ってくれるよ!」
 リョウが、すごく大切に思っている男の子。リョウが一番大切なんだから、その子だってリョウのことを一番大切に思ってる。そんな子がリョウを許さないはずなんてない。あたしだったら……
 もしもあたしがその子だったら、ぜったいリョウを失いたいなんて思わないから。
 そのとき、リョウは悲しそうな微笑で、あたしを見た。その表情は、マイラによく似ていた。
「一生許してもらえないかもしれないな。……だけど、それってたぶん、オレがこれからどれだけそのことに命を懸けられるかって、それにかかってる気がする。オレが、あいつがそうしたのと同じだけの覚悟でいるかどうか、あいつはそれを見ている気がする」
 リョウが、具体的なことを何も言わなかったから、あたしにはよく判らなかった。リョウがやろうとしていることも、その子とリョウがどんな関係でいるのかも。
 お互いに何も話せなくなって、森を出て、帰り道。やっと、リョウが気分を変えるように言った。
「ところでユーナ、おまえはなんでオレの後をつけたりしてるんだ?」
 あたしが森へ行ったのは、リョウがあたしに秘密を持っているのが悲しかったから。
「リョウの大切な約束がなんなのか知りたかったんだもん。途中でマイラに会って、リョウが会ってるのが男の子だって教えてもらったけど」
「マイラに?」
「うん、あとでマイラも会いに行くんだって言ってた」
「それで? オレの約束がなんだか判ったのか?」
「あんまりよく判らなかったけど、でももういい。リョウが悩んでたことが判ったから。……あたしだけが悩んでるんじゃないんだって、判ったの」