あとがき・1
 毎日連載小説「永遠の一瞬」を最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
 2ヶ月以上もの間読みつづけてくださった皆様に、深く御礼申し上げます。
 つたない文章で、誤字脱字、わかりづらい表現等、多々あったと思います。
 この場でまとめてお詫び申し上げます。

 さて、連載の方は無事に終了したのですが、それきりというのもあんまりですので、少しあとがきめいたものでも書いてみようと思います。
 この「永遠の一瞬」という物語は、お察しの通り、別のメインの物語のサイドストーリーとして書かれたものです。
 そもそものメインのお話は、幼い頃にリーダーを亡くしたレヴァンスというチームのメンバー、タケシとシーラの2人が、スターシップには珍しいペアのチームとして活躍してゆくお話でした。
 さまざまな紆余曲折をはさみながら、やがて「サブロウ」を殺した「敵」と、その背景にある「謎」を追及してゆきます。
 その物語の中では、サブロウはたった1枚の写真の中にしか存在しない、既に過去の人です。
 6歳の頃、自分たちをかばって銃弾に倒れた勇気ある英雄として、2人の記憶に残っています。
 私がこの物語を書いたのは10年も前になりますが、この10年間、私の中でサブロウはずっとうずき続けていまして。
 ことあるごとに思い出しては、大人になったサブロウを想像して、頭の中でシーラと絡ませたりしていました。
 そんなことをしているうちに、私はだんだん思うようになっていったんです。
 「大人になったサブロウのお話を書きたいよぉ〜!」と。
 だけど、サブロウは享年6歳で死んじゃってるんですよね。
 サブロウの死はメインの物語の一番重要なところですから、この設定自体を動かすことなんかできません。
 でも、「サブロウが生きてたらシーラはきっと甘ったれだったよな」とか、「サブロウが生きてたらシーラはぜったいサブロウに惚れてたよな」とか、「サブロウが生きてたら2人ともこんなに有能じゃなかったよな」とか、想像ばかりどんどん膨らんでしまって、私の中で2つのパラレルワールドは、ほとんど同等の比重を占めるほどになってしまったんです。
  ―― もしもサブロウが生きていたら ――
 これが、「永遠の一瞬」という物語の、本当のテーマなんです。
 って、そんなこと言ったって、この物語を読んでくださった方々にはまったく判らないものなんですけど。

 短編としての「永遠の一瞬」は、間違っても完成度の高い小説とはいえないです。
 でも、私にとってはすごく印象深い、楽しい作品でした。
 読んでくださった方の心の中にも、少しの感動が残ったのでしたら嬉しいです。