永遠の一瞬・66/最終回
 ぼくは、ゆめをみた。
 おとなになった、タケシと、おとなになった、シーラをみた。
 おとなのシーラは、とってもきれいな、かわいいおんなのこだった。
 すごくながくて、すごくたのしくて、すごくしあわせな、ゆめだった。


 ひかりが、とてもまぶしくて、めをあけたら、シーラがみえた。
 シーラは、ぼくをみて、ふるえてた。
 シーラのとなりで、タケシも、ふるえてた。
 だいじょうぶだ、って、ぼくはふたりを、だきしめた。

 きかんじゅうの、おとがうるさくて、せんせいと、おともだちの、こえもきこえた。
 でも、こえはすぐに、きこえなくなった。
 きかんじゅうの、おとは、まだきこえる。
 まだ、うるさいくらい、きこえる。

 シーラ、うごかないで。
 シーラの、みみもとで、ぼくはいった。
 ぼくが、いいっていうまで、うごかないで。

 きゅうに、うでが、いたくなった。
 きかんじゅうが、ぼくに、あたったみたいだ。
 だけど、シーラがみてるから、いたいかおはしない。
 シーラ、おねがいだから、うごかないで。

 シーラと、タケシを、だきしめる。
 せなかに、なにかがあたって、あつくなった。
 しゃべろうとしたら、くちのなかに、あついものが、たまってきた。
 ぼくは、もう、しゃべれないみたいだ。


 シーラ、だいすきだよ。
 こえにださないで、ぼくはいった。
 いっしょにいられて、すごく、たのしかった。
 もっともっと、いっしょに、いたかったよ。

 タケシ、おねがい、シーラをまもって。
 シーラを……ぼくの、いもうとを、まもってね。
 ぼくはもう、おとなに、なれないから。



 だれだかわからない、かみさま。
 ぼくを、おとなにしてくれて、ありがとう。
 ながくて、みじかい、ゆめをありがとう。
 どうか、シーラが、しあわせになれますように。

 シーラに、しあわせを、ください。