永遠の一瞬・49
「シーラ、気が済んだか」
「済まない! あと2、3発喰らわせないとおさまんない!」
「そのくらいでやめとけ。サブロウの取り得はせいぜいそのマスクくらいなんだからな。いくらお前でもそれ以上殴ったら変形しちまうだろ」
 タケシとシーラの会話を、オレは呆然と聞いていた。なにやら2人で結託してこういう事になったらしいな。それにしても、オレの取り得は顔だけじゃないと思うぞ。……言い切れないけど。
 オレの胸倉を掴んだまま、シーラはオレに凄んで見せる。
「あけみって誰? バーの女? 看護婦? それとも幼稚園の先生?」
「全部ハズレ。あけみさんは図書館のお姉さんです」
「いったいいくつなの」
「本人は27って言ってたけど、たぶん30は超えてるはず。……って、なんでそんなこと訊くのよ」
「なんでだっていいの! その女美人なの?」
「そりゃあ、君に比べたらカカシみたいなモンでしょ。君より美人の女性なんて、世界中探したっている訳ないんだから」
「……嘘じゃないでしょうねえ」
「そんなことで嘘なんかつかないって。君が1番美人で、最高です」
 オレが言うと、シーラはやっとオレを解放する気になったらしい。ベッドを降りてソファに座った。タケシの腕に腕を絡ませて言う。
「聞いた? タケシ。カカシだって。……図書館のあけみって女調べて告げ口してやっちゃおうか」
 ……コノヤロ。
 シーラの奴、ほんとにやったらその場でチーム解消してやるからな。
 とは思ったけど、もちろんタケシがそんなことを許すはずもなく、オレたちはなんとなくいつもの調子を取り戻していた。