永遠の一瞬・45
 ベッドの下に倒れたまま、しばらくいた。タケシは真面目だししっかりしてるし、誰よりシーラを大切にしてるから、いつまでもずっとシーラを守って幸せにしてくれると思う。まだオレが小さかった頃、シーラを守れるのはタケシしかいないと思った。だからオレはタケシをチームのメンバーに選んだんだ。その頃タケシがどう思ってたかは知らないけど。
 タケシに愛されたら、シーラはすごく自信をつけて、今よりずっといい女になるんだろうな。そんなシーラを永遠に見守っていきたい。いったいどのくらいの時間、オレはシーラの傍にいることを許されるのだろう。
 ずっとずっと、シーラの傍にいたい。1年後も、10年後も、50年後も。
 タケシの愛情に包まれて、幸せに笑う君を見たいよ。早く気付いてシーラ。オレが選んだ最高にいい男のタケシが、いつも君を見ていること。
 オレが、ここにこうしていられるうちに。

 さっとシャワーを浴びて、クリーニングから戻ってきたシャツを着て、スーツを身につける。そのほか着替えを2着ばかり袋に詰めて、身支度を整えた。タケシは戻ってこなかった。あのオクテ野郎が勢いで告白してそのままベッドに縺れ込んでるとはとうてい思えなかったけど、そういう可能性も頭に入れて、特に連絡もしないままオレは部屋を後にしていた。
 オレの調査は今日が本番で、会わなければならない人物も多かったから、1人1人にそれほどの時間はかけられない。それぞれの人間に合わせて作戦を変え、緊張感を持続させながらオレはまったく違う自分を複数演じつづけた。ホテルに連れ込むのはそりゃ女の方が楽しいけど、今日は男の方が多いからね。あらゆる手管を駆使して、ある人からは鍵の型を取り、ある人からはパスワードを探り、ある人には催眠術をかけて当日の防犯装置を“うっかり”忘れるよう、働きかけた。
 すべてをうまくこなし終わる頃には、時刻は既に真夜中を回っていた。ようやくたどり着いたホテルの地下駐車場で、オレはしばらく、自分自身と戦わなければならなかった。