永遠の一瞬・43
 翌朝、オレは襟元を掴まれて強引に引き上げられる衝撃で、唐突に目を覚ました。
「てめえが悪い! サブロウ、シーラに謝れ!」
「いいよタケシ! サブロウとケンカしないで!」
「お前は黙ってろ」
 目を見開くと、久しぶりに見る激怒したタケシの顔があった。まだ頭が現実についていってないらしい。いきなりタケシが怒り出す理由がよく判らなかった。
「サブロウ、昨日シーラに何をした」
 ……オレ、何かしたか? 昨日の行動を思い返してみるけど、シーラと食事をしたくらいで、タケシに怒られそうなことはやった覚えはないんだけど。強姦しようかと思っただけでやらなかったはずだし。
 いまいち夢と現実との距離感がつかめなかったから、余計なことは言わないように、オレは黙ったままでいた。
「タケシ、もういいから。……たぶんサブロウにはたいしたことじゃなかったんだよ。それならあたし、気にしないから」
 オレの襟を掴んだタケシの拳がぶるぶると震えてる。今にも殴りかかってきそうな感じだ。そんなタケシにぶら下がるように必死に抑えてるシーラの姿も見える。オレは両手を降参の形に上げた。
「……殴るなよ。顔に傷でも作ったらあけみさんに嫌われちまう」
「てめ……! シーラを泣かせておきながらぬけぬけと……」
「オレが何したってのよ。まずそこから説明してくれないかな」
 さすがに今オレを殴っちゃまずいってくらいの理性はあるらしくて、タケシは胸元を掴んだ片手を引いて、オレをベッドから引きずり落とした。