永遠の一瞬・40
 早くタケシに戻ってきてもらいたかった。シーラと2人で過ごしているといつも思う。タケシはどう思うのだろう。オレとタケシは互いにバランスを取っていて、オレはタケシがいないといつも不完全な気がする。
 シーラがいなくてもあまり感じない。オレはタケシをすごく頼りにしていて、シーラをもてあましているのかもしれない。
 不思議だと思う。タケシもシーラもずっと一緒にいて、違うのはシーラが女だって、ただそれだけなのに。
 もしかしたらオレは、タケシよりシーラより、ずっと子供なのかもしれない。
 レストランで食事をしてる間もなんとなく落ち着かなくて、少し余分にワインを飲みすぎたかもしれない。自分がどこか遠くの方で会話をしているような、ちょっと現実離れしたような感覚があった。人目の多いところではさすがにシーラもオレに絡んできたりはしないから、少し調子が狂ってるのかもな。食事を終えて、部屋に戻ってからも、シーラと交わしている会話はほとんどオレの表面を滑っているような感じだった。
 いつの間にか、オレはソファでうたた寝をしていたらしい。目がさめたのは、タケシがドアを開けた気配を感じてからだった。
「お帰りタケシ。ご苦労さん」
 それだけ声をかけて横を見ると、シーラがオレにもたれてうたた寝しているのが見えた。さっき、シーラが眠っちゃったから、動くに動けなくていつの間にかつられたんだな。化粧をしていないシーラは少し疲れたようにも見えたけど、でも綺麗で、王子のキスを誘う眠り姫みたいだった。