永遠の一瞬・25
「あの子達、サブロウのことかっこいいって言ってた。背も高いし優しいし、あたし、羨ましがられた」
 そりゃあね、そう見られるように行動してる訳だから。そう見せてる限り、オレの寝起きが悪いことも、だらしないことも、ぜんぜん見えないだろうね。
「一緒にいる男がかっこ悪いより数倍いいと思うけど?」
「サブロウって、女の子なら何でもいいんだ。プレゼントまですることないじゃん」
「そんなことですねないの。ほら、これで機嫌を直しなさい」
 そう言って、オレはポケットから出したそれを、シーラの首にかけてやった。小さなガラス玉の、おもちゃのペンダント。彼女たちとは少しだけ差をつけたつもりなんだけどね。
 それは判ったのか、シーラは少し機嫌を直していた。
「指輪も欲しいな! 今度は本物がいい!」
「だーめ! そんなの経費で落ちるわけないでしょ」
「なんだよ! このペンダントも経費で落とすつもりだったの?」
「落とさないよ。これはれっきとしたオレのポケットマネーです。観光地のみやげ物屋のレシートが経費になるかって。……どうするんだ? 滝壷まで行くのか?」
「あ、うん、行く」
 シーラは看板を辿って滝壷までの道を下り始めたから、オレもあとについて歩いていった。途中からシーラは道を外れて、川縁の石を踏みしめて水のあるところまで行こうとしていた。1つのことに夢中になると後先考えないところはほんと、この子らしいというか。
 仕方ないから、オレもついていく。