永遠の一瞬・24
 みやげ物屋でてきとうな使い捨てカメラと、ちょっとした小物をいくつか物色して急いで会計を済ませ、再び走って橋の上に戻った。シーラは彼女たちに話し掛けられたようで、作り笑顔で対応している。シーラはどちらかといえば内弁慶なタイプだ。他人と本当に打ち解けるのには時間がかかる。でも、打ち解けた風に見せる会話もできるから、初対面の人間がその違いを区別することはできないだろう。
「ごめんね。待った?」
「いいえ、ぜんぜんです。早かったですよ」
「もうちょっと待ってね」
 カメラの封を切って、フィルムを巻いたあと、彼女たちにカメラを渡してようやく柵の前に立った。シーラの肩を抱いて写真撮影。まだ見てはいないけれど判る。オレたちはたぶん、本当に幸せそうなカップルのように、写真に写ったことだろう。
「ありがとう、悪かったね」
「いいえ、こんなことぜんぜん大丈夫です」
「それじゃ、これは心優しい君たちへのお礼」
 カメラを受け取ったあと、オレは2人の髪にみやげ物屋で買ったマスコットをくっつけた。ウサギとクマの形で、手のところがクリップになってるやつだ。2人はちょっと驚いたけれど、嬉しそうで、でも少しすまなそうな顔をして言った。
「そんな、悪いですよ。たいしたことしてないのに」
「いいの。君たちはこの子を喜ばせてくれたから。気にしないでもらっといて」
 そう答えてシーラの髪をなでる。シーラは少し複雑そうな顔をしていた。
「なんか、彼女のことすごく愛しちゃってます?」
「そうみたい。オレ、今この子しか見えないから」
「いいなあ、うらやましい」
 小さなマスコットのお礼を言って、女の子たちは去っていった。横のシーラを覗き込むと、ちょっとすねたような顔でオレを見上げていた。