永遠の一瞬・21
 オレたちが宿泊しているホテルというのは、実はかなりいなかで、まあ観光地と言って語弊はないのだろうけど、たいした観光名所も近くには見当たらない。シーラを助手席に乗せて、とりあえずオレはシーラリクエストのマクドナルドを探した。昨日カーチェイスした通りにあったはずなんだ。そんな、かなり怪しげなオレの記憶に間違いはなく、巨大なマクドナルドのだだっ広い駐車場に車を停めて、朝食セットをはさんでシーラと向かい合わせに腰掛けた。
「お前、マクドナルドまで来てなんでホットケーキなんか食ってるの?」
 ホットケーキならホテルでも食えたじゃん。ソーセージエッグマフィンを頬張りながら、オレはボソッと言ってみる。
「いいじゃない。この薄っぺらいホットケーキとハッシュドポテトが食べたかったんだもん」
「いいけどね、オレは。……彼氏ができたらそういうことはするなよ」
「大丈夫だもん。あたしの未来の彼は、サブロウなんかよりずっと優しくてかっこよくて、わがままなんでも聞いてくれるんだから」
 はいはい。せいぜい夢でも見てなさいよ。……タケシだって怒ると思うぞ。わざわざマクドナルド探させられてホットケーキ食われたら。
「どこ行くか決めた?」
 シーラはオレの顔を見つめたまま返事をしなかった。特にどこに行きたいって訳でもないらしい。
「そんじゃ、オレに任せる?」
「うん、任せる。やっぱりデートコースは男の方が決めるのが筋でしょ」
「判りました。お姫様の期待にこたえられるデートコースを組みましょう」
「ランチとディナーはゴージャスによろしく」
 こんなラフな格好で、ゴージャスなディナーが出てくるような店に入れると思ってるのかね。
 別にいいんだけど、シーラはやっぱり子供で、世間知らずで、なかなか厄介な女の子だ。