永遠の一瞬・19
 オレはリストをファイルにはさんで、備え付けの金庫にしまった。シーラが座っているベッドに寝転がる。今日の予定が昨日に繰り上がっていたから、今日のオレは1日暇だった。シーラ担当だと思えば退屈している余裕はないだろうけれど。
「ねえ、サブロウ。……あたし、必須の単位取った方がいい?」
 オレが昨日蒸し返したからだろう、シーラが訊いてくる。ほんとはずっと引っかかってたのかもな。誰も口に出さなかったから、シーラ自身もその話題を避けてきたのかもしれない。
「タケシは何て言ってたんだ?」
「自分はリーダーじゃないから何も言えない、って。サブロウに訊いてみろって」
 ……タケシの奴。さては面倒なことをオレに押し付ける腹だったな。おかしいと思ったんだ。進んで本部に出向いてくれるなんて。
「……まあ、シーラが単位を取ってくれたら、チームとして作戦の幅は広がると思うけどね。でも、今のままでも支障はないし、いいんじゃない? シーラが無理して嫌な単位を取らなくても」
 確かに酷な話だと思うよ。ヴァージンの女の子に、SEXのイロハをムリヤリ仕込むなんて。
 そういうところは組織の上の方も理解しているらしくて、必須科目とはいっても本人がその気になるまでは履修を猶予される風潮がある。
「……サブロウが補習してくれたら、取れると思う……」
 失敗したと思う。オレは昨日、たとえシーラが事故ろうが何しようが、こういう話を蒸し返すべきじゃなかったんだ。
「それならタケシに頼めって言ったろ?」
「頼んだよ。……だけど、タケシにも断わられたから」
 ……なるほど。それでか。昨日タケシの様子が妙だったのは。
 あのオクテ野郎は、オレがせっかくチャンスを作ってやったにもかかわらず、自分からフイにしてくれたらしい。