永遠の一瞬・18
「サブロウ」
 オレはベッドに腰掛けて、シーラの作ったリストを見つめていたから、シーラはソファから立ち上がってオレの隣に腰掛けた。オレが見ているリストをシーラも覗き込む。シーラにしてみれば、自分が作ったリストの是非が気になってしかたがないんだろう。
「何回も確認したよ。変だった?」
「……いや、良くできてる。君にしては上出来」
「なんでそういう引っかかる言い方するんだよ」
「ちょっと黙ってて」
 オレは機材をひとつひとつ作戦と照らし合わせた。経緯を辿って、シーラが選んだ機材を使いながら頭の中で川田ビルに潜入する。内部の構造は前に実物を見ているから、わりとスムーズにシュミレーションすることができた。シーラはオレが考えていた侵入経路よりもずっとスマートな経路を想定していたのだ。
 確かに、この方が機材も少なくて済む。1箇所だけ、多少オレに負担がかかるところがあるけれど、そのデメリットよりもメリットの方が遥かに大きかった。
「このリスト、タケシに見せた?」
「見せてないけど。……変だった?」
「変じゃないって。天才的に良くできてる。君はすばらしく優秀で完璧なメンバーだ」
「なんでサブロウの言い方って、そういちいち引っかかるのかな」
 タケシの作戦じゃない。この作戦は、全部シーラが1人で考えたことだ。
 それにしても、どう誉めようがけなそうが、結局オレの言い方はシーラのお気には召さないらしかった。