永遠の一瞬・17
 さすがにシーラの目の前で下着を着るのははばかられたから、オレは一度ユニットバスに戻って身支度を整えた。そうして部屋に戻ると、タケシは相変わらず煙製造に忙しく、シーラは恐ろしい目をしてオレを睨みつけていた。
「シーラ、オレのシャツ、どうした? 明日また使うんだけど」
「クリーニング。今日の夜までにできるってさ」
「ありがとう。気が利くね。君はいい奥さんになれそうだ」
「サブロウは娘に嫌われるオヤジになるよ」
 へえ、口ごたえするなんて珍しい。昨日タケシに何か言われたかな。
「シーラ」
 タケシが促して、シーラはテーブルの上に叩きつけるように1枚の紙を置いた。見るとさっきタケシが言ってた機材のリストだ。拾い上げて、ベッドに移動しながら軽く眺める。
「……ごめん、タケシ。やっぱり明日シーラと一緒に行って」
「判った。じゃ、オレはでかけてくる」
「ああ、頼むよ」
「ちょっとサブロウ。何か足りなかった?」
 タケシはシーラの頭を1回なでるようにして立ち上がると、車のキーを掴んで部屋を出て行った。