永遠の一瞬・15
「……サブロウ、サブロウ! なんて格好で寝てんだよ!」
 翌日の目覚し時計は、なぜかタケシの野太い声じゃなく、シーラの甲高い声だった。布団をはがされて眩しさに目を細める。目の前にはちょっと怒ったようなシーラの顔があった。
「ヤダもう! 香水の匂いなんかさせてるな! ワイシャツもしわくちゃにしてー。……さっさと脱ぐ!」
 寝ぼけながら身体を起こすと、シーラは手早くオレのシャツを脱がせにかかった。と、シャツをはがすシーラの手が一瞬止まる。そのあと待っていたのは、脱がされたシャツでの顔面一撃。
「サイッ、テー!!」
 そう叫びを残して走り去るシーラの後姿を、オレは呆然と見送った。まだ少し寝ぼけてるな。部屋を見回すと、相変わらずタケシが吸殻を大量生産している姿が見えた。
「……なんだ……?」
 オレが言うと、呆れたようにタケシが煙を吐いて、自分の胸元あたりを指差した。
「ココ、くっきりとついてる」
 しばらく意味が判らなかったのだけど、それが判ったとき、オレは正直ちょっとあせった。
「やっばー。気をつけてるつもりだったんだけどな。やられたわ」
「昨日の女か」
「明日までに消えるだろうなあ。明日の方が本番だってのに」
 タケシはほんとに呆れてしまったらしく、天井に向かって大きく潮吹きをした。