永遠の一瞬・14
「シーラがなんで単位を取らねえのか、知ってるだろ」
 なるほど。なんでタケシがこんな話を始めたのか判ったわ。オレもタケシもシーラが取りたくない単位なら取らなくてもいいと思ってる。オレたちはチームだ。できないことがあるなら補い合えばいい。
「ヴァージンだから、じゃねえの?」
「判ってるなら蒸し返すな。てめえは自分で自分の首を締めてるんだぞ」
 シーラが取っていない単位ってのは、要するにベッドの上での技術な訳だ。異性を篭絡させる技が必須で、その他にいくつか任意の単位もある。オレが取った単位の中にはシーラの必須科目もあるから、シーラがその単位を持っていなくても、チームとしてはそれほど困ることはないんだね。……まあ、そのおかげでオレはかなりいそがしい思いをしてるけど。
「だいたいなあ。なんでオレがそんな話を蒸し返したかって、ひとえにお前がシーラをちゃんと見張っててくれなかったからじゃないよ。公道でカーチェイスする羽目んなったオレの身にもなってくれる」
「それは悪かったと思ってる。だけどなあ。オレにだって生理現象もあれば都合もあるんだよ。シーラの見張りだけやってられるわけじゃねえんだ」
「だから言うんだ。 ―― シーラをお前の女にしろよ」
 タケシはおもしろいくらいピタッと、動きを止めた。オレにはシーラと寝ろとかなんとか言いながら、自分が言われるとは思ってなかったんだろうか。
「一度やっちまえばあのじゃじゃ馬もおとなしくなるだろ。オレはひじょうに助かるけどね」
「……オレにはできねえよ。シーラが好きなのはオレじゃねえ」
 そんなの、抱いちまえばそいつが一番になると思うけどね。
 タケシもやっぱり、今の関係を崩すのをどこかで恐れてるのかもしれない。