永遠の一瞬・11
 だけど、そこでシーラに負けるってのもなんだしね。
「シーラ、君は必須科目の単位を1つ、まだ取ってないでしょ」
 オレが言うと、シーラは痛いところを突かれたのか、下を向いてしまった。
「しかも受講すらしてない。オレもタケシも2年も前に取ってるし、オレは任意の方も3つばかり取ってあるんだよ。……要するに、君はまだ半人前なの。だから半人前らしく、リーダーの行動には口出ししないこと。いいね」
 シーラは下を向いて顔を赤くしていたけれど、やがてボソッと言った。
「……サブロウが補習してくれたら受けるよ」
「そういうことならタケシに頼むんだね。あいつの方が成績は良かった」
「タケシは任意取ってないもん。……サブロウ、あたしのこと、嫌いなの?」
 顔を上げたシーラは、少し泣きそうな顔をしていた。
「嫌いな訳ないだろ? 何でそんなこと訊くの」
「だって、サブロウはいっつもあたしのこと邪魔にする」
 ……あのなあ。泣きたいのはこっちの方だ。なんだってシーラはこう、オレに絡むようなしゃべり方をするんだ。
「シーラ、オレは君のことは大好きだし、君は美人でかわいいし、魅力的だと思うよ。だから、君がオレの邪魔をしなければ、こんなところでこんな話をすることはないんだ。……判ったね。判ったらオレを行かせて。あんまり時間がないんだ」
 判ったのか、それともほんとは判ってないのか、とりあえずシーラはオレが車に乗るのを邪魔することはなかった。自分の車に乗り込んで、再びエンジンをかける。アクセルを踏んで車を発進させると、背後でシーラの叫ぶ声が聞こえた。
「サブロウの嘘つきー! サブロウなんか大っ嫌い!!」
 ……やっぱり、ぜんぜん判ってなかったらしい。