永遠の一瞬・5
「シーラ、タケシ、決行の日を決めたよ。3日後の土曜日、深夜11時だ」
 オレが言うと、2人とも一瞬表情を硬くした。だけどそれほどの緊張感はない。この程度の仕事ならば、過去にいくらでも成功させてきた。そのうえ、川田ビルは以前に別件で侵入したことがある。わりに楽な仕事の1つだった。
「役割分担は? このあいだと同じ?」
「ああ、変更の必要はないだろ。タケシが配電関係で、オレが実行係。シーラは逃走経路の確保だ。細かい打ち合わせは当日するとして、前日までに必要な機材をピックアップして本部に取りに行かないとね。……タケシ、シーラ、2人で頼むよ」
「判った」
「サブロウは?」
「オレのことは気にするな。その日はちょっと野暮用がある」
「……まさか、デートだったりする?」
「当たらずとも遠からず、だったりして」
 オレが言うと、シーラが怒ったように口を尖らせた。それには構わず、オレはファイルを閉じた。
「シーラ、隅から隅まで読んでおいて。……隅から隅まで、だぞ」
 オレの駄目押しに、シーラは本気で怒ったらしい。ファイルをオレに叩きつけて言った。
「今度は誰だよ! しょうこ? まさえ?」
「だから気にするなって。ノーコメント」
「信じらんない! 仕事より女を取るなんてサイテー!!」
「悔しかったらお前も彼氏作ってみろよ。ちょっとそこらで笑顔の1つでも振り撒けば引っかかる男はいくらでもいるぜ」
「サブロウなんか大っ嫌い!!」
 怒り狂って、それでもファイルだけはしっかり掴んで、シーラは部屋を出て行った。