2002年11月の記事


The Last Samurai
 数年ぶりに友人A宅を訪ねた。が、ぼくが着いたときには、Aは町内の仲間たちと一泊二日で、日本海へカニを食べに出かけたところで、タッチの差で出会うことはできなかった。途中の喫茶店でランチを待たされたのが悪かった。

 玄関で彼の奥さんと話をしているときだった。無精ひげをたくわえた青年がやってきた。青年は昔のAそのままの風貌だった。伏目がちに話す仕草、けど意志の強そうな眼差し・・・・・。

 「おい、いくつになったんだ?」

 「19歳です」

 「おやじそっくりだな。で今なにをしてるんだ?」

 「ちょっと前まで、半年ほどニュージーランドにいたんです。おととい帰ってきたところで、就労ビザがおりたらまた行くんです」

 「就労ビザって、ニュージーランドで働いているのかい?」

 「今まではホームステイだったんですけどね、今度は仕事を兼ねていくんです。トム・クルーズの『ラストサムライ』のロケを来年からニュージーランドでやるの知ってますか?」

 「トム・クルーズってハリウッドの俳優だろ。ちょっと前、姫路に来てたぞ」

 「それですよ。最後のロケは四ヶ月間ニュージーランドであるんです。おれサムライのエキストラで出演することになっているんですよ」

 「ふうん、それでギャラくれるの?」

 「週、日本円で四万円、あっちは物価が安いですから結構いい給料です。エキストラは全部日本人で、300人ほどかな?」

 まあ、それからAのお母さんが出てきて、昔話に花を咲かせてみたり、かみさんと息子が走りまわったり。で、帰ってきて「ザ・ラスト・サムライ」を検索した結果。2003年12月12日、日米同時公開予定、ちなみにトム・クルーズのギャラは推定24億円。映画制作費は300億円。日本人の出演者は渡辺謙、真田広之など。詳しくは The Last Samurai

 ということで、昔のAが出演するラストサムライはちょうど一年後に封切りとなる。それにつけても、サムライ映画をニューランドまで行って長期ロケしなくてはならないとは、すでに日本はサムライの国でなくなったということであろうか。もしくはどうしようもなくせせこましい国土になりはてたか・・・・・、まあハリウッドが考えることをどうのこうの言ってもしかたない。

 若かりしころのAにサムライの気質があったかって、それは今でもわからない。ただ、メンタル的強さは息子に受け継がれている気がする。さて来年のこと、300人の軍勢の中からAのあのころを探し出すことができるかどうか。どうにも楽しみになってきた。

 最後にトム・クルーズと4ヶ月間のエキストラ・ニュージーランドツアーをお楽しみになりたいかたは、以下のところまでお申し込みください。ひょっとして、ハリウッドスターへの道が開けるかも・・・・・。

 京都府京都市右京区太秦堀ヶ内町12-9
 075-864-8922(担当:早川)
 lastsamurainz@yahoo.co.jp
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いまにし亭
末広コマンダーで勝負/土曜中山11R

 30日午後1時から、東京・新宿の早稲田大学大隈小講堂で「わせだ寄席」というものが開かれる。柳家権太楼、立川志らく、柳家喬太郎らの出演で入場無料というから、これは聴き得だろう。世知辛い世の中、あわただしい年の瀬を迎える前に、笑ってすごすひと時を持つのもいい。
 
 学生のころ、新宿の末広亭へよく出かけた。まだ六代目三遊亭円生や八代目林家正蔵、十代目金原亭馬生、色物ではアダチ龍光などが健在で、面白い高座が見ることが出来た。そしてこの時代、もうひとり忘れてはならない噺家がいた。林家三平。「いつも同じギャグばかり」「マンネリだ」などの批判もあったが、寄席で聴いてこれほど楽しいひともいなかった。1925年(大14)の11月30日に生まれている。

 末広亭の話が出たら、土曜中山11RステイヤーズSの狙いはスエヒロコマンダーしかいない。アルゼンチン共和国杯を外傷性鼻出血で取り消したが、もうその影響はない。昨年のこのレース2着。スタミナ勝負ならここでもヒケはとらない。注文レースは得意な武幸四郎、先週土曜も阪神で特別3連勝とノッている。

 ネタにしたのが「三」平でコマンダーも3枠、馬主もみどり住宅だし‥。それがなんの関係が?いえ、三平の娘が海老名「みどり」ですから‥。

 馬単3から1、4、5、7、11。


 ◆今西和弘◆ by Nikkan Sports

 昨年11月1日付で、競馬レース部デスクから電子電波情報本部に異動。
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今年の花壇はビオラオンリー
どうも今年のこぼれ種のひまわり、咲けずにすんでしまいそう。
やっぱり二年前の雪景色は幻だったんだ。

さて、木の葉がなくなった柿と花梨、橙色と黄色、
どちらが最後まで持ちこたえられるか。
サドンデスのマッチレース。
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水曜日のランチ
 ウィークデーのたいてい水曜日、かみさんが昼食を用意してくれないので、ランチタイムウォーキングの帰り、近所にあるホテルでランチを食べる。

 ホテルができてから五年ほどになるだろうか。僕がそこへよくいくようになったのは二年程前。あんまり美味しくはないが、空間が広いことと、たいして混んでいないのが僕にはちょうどよい。気分的にのんびりとできるからだ。たまに知った人と顔を合わすが、まず席を同じくすることはない。

 そのレストランには、顔なじみとなったチーフクラスのウエイターとウェイトレスがいて、そのどちらかが昼食の時間にいる。二人のどちらかは僕が席につくと、まず日替わりランチメニューを告げる。僕がそれでOKすると「ライスとミルクティーですね」と確認をする。僕がなにを言うことなく食事をしていると、よほど多忙でない限り、食事の終わりごろにミルクティーが運ばれてくる。僕の都合、ランチタイムが限られていることを心得ているからだ。

 食事より紅茶の味のほうが気に入っている。彼らは僕に「コフィー、オア、ティ」とは尋ねない。僕はご飯なしで何日でも暮らせる日本人だが、彼らは「パンまたはライス」とは尋ねない。

 呼吸の合う彼ら二人がいる限り、かみさんが昼飯を作ってくれない日は、あそこでランチを食べる。決して僕は彼らの名札すら記憶にないし、彼らも僕のことを知ってはいない。たった20分間だが、スープとサラダつきの880円ランチは、僕にとって実に快適なものとなっている。
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ない袖は振れない
 ある金融機関の調査によると、日本国民(法人を含む)の全預金高はおよそ1400兆円と推測されている。何を根拠にはじき出されたのかはわからないが、全然イメージがわかないほどの膨大な金額である。

 またある金融機関の調査の結果である。その1400兆円の預貯金の全額を、国民が、銀行なり郵便局で換金しようとするとどうなるかだが、その半分も返却できない状況という。別な外資系金融機関では三分の一以下だという声さえある。ちなみに郵便局が大丈夫で、銀行のほうがやばいかというと、そんなときは公民関係なく、何もかもやばいのである。

 融資全額を回収すれば帳尻が合うかといえば、いくらかは埋まるだろうが、全然十分じゃない。その点では、銀行のほうが郵便局よりちっとは脈がある。7〜8年ごろ前まで郵便局の貯金の利息はかなりのものだったが、融資事業ができない郵便局がどうやって利息を生み出す運用をしていたのか。高度成長とインフレに乗っかって、債券や株式に運用して利益を生んでいただけである。まあ、銀行にも生保にも似たようなことがいえるんだが、預金を運用しているはずの財政投融資が、取り戻しようのないほどの、信じられないようなパーセンテージの損失を抱えている。

 我々庶民にとって、銀行も郵便局も単なるお金の通過点にしかすぎないものになった。預かり利息はないに等しく、ただ預けておくにもリスク管理が必要になってきた。リスクはすべて自己責任というこれからが目の前に見えているようだ。まあ、とにもかくにも、お上がない袖は振れないと言ったときは日本沈没である。死なばもろとも、赤信号みんなで渡れば怖くない。で、頃合い見計らって、「おいら いち抜けたぁ!」と言ってみたくもあるんだが・・・・・。
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あさま山荘事件
 「あさま山荘事件」をビデオで見ていた。

 少年時代、テレビの実況中継にくぎづけになっていたことを思い出す。手に汗握りながら、赤軍派学生と機動隊との銃撃戦をつぶさに見ていた。あれは戦後の昭和史において、最も日本中が注目した事件だったと思う。

 が、映画では時代背景が描かれていなかった。いわゆる全共闘の時代、過激派学生が実際にどのようなものであったのか、映画の中では人質をとってたてこもった犯人像がただの若造にしか描かれていない。過激派学生は暴力団よりも恐ろしい複数の組織になっていて、殺戮のための殺戮に意義を感じているほどだった。また世相において、一般学生たちですら、警察権力というものに悪の象徴のような意識を抱いている時期だった。

 「あさま山荘事件」は警察内部のどたばたを描いただけの映画であり、原作における時代考察を抜きにしてのただの人質救出作戦だった。だから、時代を知る自分が馬鹿らしいほどなのだから、時代を知らない人たちが見ればさらにお粗末な映画だっただろうと、ぼくは思う。見るに値しない駄作だった。
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ジャズバージョン
綾戸智絵とケイコ・リーとを比べると
やっぱりケイコ・リーのほうがいい。
今聴いてる「Fly Me To The Moon」なんて 最高。
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皇女和宮の悲恋
 今年の紅葉は殊のほか美しかったので、楓と銀杏の葉を押し花にしてみた。なかなかに風情を感じていいものだ。やり方はとっても簡単なアイロンプレス。週刊誌の活字のページをアイロン台にして、テシュペーパーを広げ、この上に葉を並べて、またその上にテシュペーパーをかぶせる。そうして、力をこめてアイロンを当てる、と押し葉のでき上がり。

 昔、江戸時代までの女性は、いけ花の本の間に、イチョウやカエデの葉をはさんでいたという。当時の本は和紙でできていたからうっすらと見えたことだろう。

 「花のいのちは短くて・・・・・・・」 と歌ったのは「放浪期」で名を馳せた林芙美子。これはそれよりも80年あまり前の悲恋物語。静寛院宮こと皇女和宮がいつも胸に抱き続けていた人は有栖川宮であったが、その宮との婚約が不成立に終わり、いよいよ徳川家へ降嫁することが決まった。このとき、和宮が自分の胸のうちを伝えるために女官にことづけたのが、カエデの押し葉だったとか・・・・・・・。長文の恋文に代えて、たった一枚の木の葉、それは、燃えるような緋色ではなかったかと推測してしまう。いま手にしている深紅の楓の葉のようではなかったかと。
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監獄ロック
 ぼくの読書スタイルにポリシーがないことはみなさんご承知のとおりである。19世紀の世界文学にのめりこむかと思えば、フランス書院の官能シリーズへも突入する。

 で、今読んでいる本はというと、ちょいと くだけて浅田次郎の「プリズンホテル」シリーズ。その1の夏が終わって、2の秋を楽しんでいる最中である。

 また季節の順番はちがうが、五木寛之氏の作品に四季奈津子、波留子、布由子、亜紀子と四季シリーズがあるくらいだから、浅田氏にも当然3の冬、4の春があることは言うまでもない。

 前置きが長くなったが、この監獄ホテルの登場人物の多くは想像に難くないヤクザな人たち。ホテルの経営者がヤクザの親分だから、キッタハッタは至極当然。挙句、ただ一人の肉親で跡取の甥っていうのが、極道小説の売れっ子作家ときているから、ガラの悪い小説であることこのうえない。

 が、このローカルで風光明媚な「プリズンホテル」でくりひろげられる、いわくありげな宿泊人たちの笑いと涙のスペシャルストーリーには、ドストエフスキーやフランツ・カフカに優るとも劣らぬかもしれない味わいが漂っている。いや、藤沢周平の人情話にも優るとも劣らぬかもしれない、人の情が醸しだされている。

 で、今日の登場人物は、極道の大親分の情婦だった人気歌手「真野みすず」。親分が逝去して、その供養にと「プリズンホテル」にやってきた。長い年輪に悲しみが刻みこまれ、寄る年波、孤独に打ちひしがれていた。そこでかつてのヒット曲、浅田次郎作「極道エレジー」を愛した人に捧げて歌う。

極道エレジー

さよならも言えないで 別れたあの夜
今も夢に見る 雨の路地裏

ヤクザの女だから 涙は噛んでも
数える月日は 重くせつない

つばめ つばめ あの人の
淋しい軒端に歌っておくれ

海山へだてても いくとせ過ぎても
あたしはあんたを 待ってると

しぐれ しぐれ あの人の
淋しい窓辺に 伝えておくれ

鏡をとざして 油にまみれて
あたしは素顔で 待ってると

 
 と、すぐインスピレーションがひらめいて、別なことを考えるのがぼくの悪いくせ。そこで出てきたのが、かのエルビス・プレスリーの「監獄ロック」。本をいったん閉じて、レコードを聴かなきゃあおさまらない。プレスリーきちがいだった、今は亡き伯父さんにもらったコレクションを捜しはじめる。物置のなかを一時間捜して見つけたやつ、これはやっぱり最高のロックン・ロールだった。

 これはアメリカ中が子供だった時代の歌だ。あるいは子供の真面目さに出会える歌だ。みんなが身体いっぱいひねって、心をしぼった時代の歌だ。身体と心からは虹色の汗が飛び散った。レッツ・ゴー「監獄ロック」

監獄ロック
http://www.xs4all.nl/~mouwen/elvis/midi/jailrock.mid

州立刑務所で看守がパーティーを開き
監獄バンドがさっそく演奏を始めた
バンドはノリノリ、雰囲気も最高潮
囚入たちの大合唱が最高にイカしてる

踊ろうぜ、みんな踊ろうぜ
刑務所中のやつらが
監獄ロックに合わせて踊りだす

蜘蛛のマーフィーがサックスでテノールを吹けば
リトル・ジョーイがトロンボーンで対抗さ
イリノイ州出身のドラマーはドラムを叩きまくってた
バンドの連中ときたらみんな過激なやつばかり

囚人47号が3号にこう言った
「この中じゃおまえさんが一番いい男
どうだい、1曲やらないか
俺と監獄ロックを踊ろうぜ」

隅っこじゃ、サッド'サックが石の上に座り
一人でメソメソしてたっけ
看守が言ったよ「ウジウジするな
相手がいなけりゃイスとでも踊るんだ!」

シフティ・ヘンリーがバッグスにつぶやいた
「今こそ脱獄のいいチャンス」
でもバッグスはすかさずこう言った
「それよりここで楽しもうぜ」

監獄ロックに合わせて踊りだす♪

 「脱走するより、ここが一番いい」、逃げない自由。I'm O.K。You are O.K。いまでは看守さえ、リズムに手拍子している。背中の向こうの顔もきっと楽しそう。そんな気がしてくるエルビスのリズムだ。バカバカしさにある真理。ロックの攻撃。どこにも自由はある。逃げることを考えて苦慮するくらいなら、楽しんでしまう自由。どこにも自由はある。「監獄ロック」が獲得した永遠の勝利の理由は、とても人間的な歌ということにある。

 ということで、みなさん「監獄ロック」を聴きながら「プリズンホテル」を読もう。もしくは「プリズンホテル」を読みながら「監獄ロック」を聴きましょう。
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毎日10時間なのだから
独立して7年が経った。

風邪は治ったはずなのに、なぜか疲れが残っている。
つっぱっているつもりじゃないが、自分ひとりだと文句をいう相手はいない。
どこも悪いところがないのにしんどいっちゅうやつは
最近はやりの「うつ」というけったいな病気の初期だろうか?

う〜む、このわびしさはなんだろう?
巷に枯葉が舞う如く我が心にも風が吹く。
別段食うに困っているわけじゃないんだが・・・・・。

ちなみにおれっちの仕事にかみさんは口をはさまない。
おれっちもかみさんの仕事に口を出さない。
おれっちの稼ぎのほうがかなり多いもんで
炊事洗濯など家事全般はかみさんの領域だ。

巷なんて言ってしまったけど、
おれっちはベルレーヌを気どってるわけじゃない。
もちろん、ランボー如きを欲して悩んでいるんじゃない。
そんな気はさらさらない。

と、戯言を言っているうちに
いつもよりずいぶん早く夕食のお呼びがかかった。
腹が減るところをみると病気でもないようだ。
さて、PCをオフにしてと・・・・・、
たぶん、これから離れれば、ふさぎの虫から逃れられるような気がする。
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またまた
UFJがストップ安売り気配の倒産株価。
一株がたった89、000円也、
たぶん明日は79、000円となることだろう。
三和銀行と東海銀行と東洋信託銀行が合併して
UFJホールディングスとなった一年前の10分の1以下の株価だ。
もうどうでもいいって感じ。

ジャイアンツがペタジーニの入団を発表した。
松井の代わりだかなんだか知らないが、
ジャイアンツはいつも欲しいものを金の力で手に入れる。
FA制度とは何のために作られたのか?
ジャイアンツが金に物を言わせて好き放題に選手をとるためにできた制度だ。
あしたプロ野球ドラフト会議があるが、
あんなものはすでに形骸化されていて、
いちばんいい選手は自由選択枠で入団先が決まっている。
もちろんこれもジャイアンツのために作られた制度だ。
中村もジャイアンツに入ればいい。
ほんとどれもこれも もうどうでもいいって感じ。

実のところ、なんでもかんでも利害あることは、
結果的に海の向こうが取り仕切りはじめてきた、
とはっきりとした根拠もなく、何気なくだがそう僕は感じている。
で、最終的に泣きをみるのは島国だってこと。
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ノンポリ
 ぼくのノンポリ精神は高校時代からだ。
 キャプテン翼は好きだったけれど、右左の翼は好きじゃない。もちろん、野球の左右の外野手の守備位置のことじゃない。

 尼崎市長選挙で、42歳のもと全日空スチュワーデスが、与党野党相乗り推薦の現職を破って見事当選を果たした。共産党の支持さえなければ、完璧な賞賛に値する快挙だ。ちなみにぼくは共産党は嫌いだ。屁理屈こねるコミュニストが好きじゃない。と言って、公共事業のしがらみに代表される俗物たちも大嫌いだが。

 今の日本、政治なんて誰がやっても同じこと、どうせならじいさんよりも若い人、ダサいおじさんよりもいかした女性、かてて加えて賢明であればいうことない。と国民が考えはじめたのは、自明の理であるようにも思えてくる。

 ありきたりよりは破天荒に、例年に倣ってよりは斬新に、そんなふうに物事を考える人たちが必要になってきた。数十年かけて迷いこんだ迷路から抜け出すことが、変化を怖れる老人にできるだろうか? 四国に架かった三つの橋は、政治架橋とも呼ばれ、4兆円近い借金を抱え込んでいる。さらに、本四公団は年間600億円以上も赤字を出すお荷物となっている。三本の架橋は、三木元首相(徳島)、大平元首相(香川)、宮沢元首相(広島)たち有力政治家の地元と重なっている。三十年以上も前から行なわれてきた綱引きの結果だ。四国四県で兵庫県ほどの人口しかないというのに、なぜ三本もの橋をかけたのだろうか? すでに当の二人の政治家は亡くなっている。

 橋をかけたおかげで船会社の多くが倒産した。橋をクローズすれば赤字は増えず、船会社のいくらかは生き返る、これは実に奇妙な算数だ。すべての借財、赤字は国民からの税で賄われているということを忘れてはならない。

 徳島県は橋の通行料金の値下げに反対である。なぜなら、橋を渡って阪神方面へ買い物に行く人がふえるから、四国経済が打撃を受けるということだからである。生き残ったフェリー業界も死活問題だと危機感をつのらせる。

 ちなみに財源は、自動車重量税、ガソリン代の揮発油税であり、東北や北海道方面から反発が相次いでいるという。が、全然足りないから国債という紙を刷って、国民に借金するしかない。これこそ実際の不良債権の最たるものだが、こんな状態がとめどなく続いており、そこかしこ、多寡にかかわらずごみだめのようになってしまっているから、なまじっかなことではもうなすすべがない。

 預貯金の金利など上昇できるわけがなく、普通のサラリーマンの年収もふえる根拠がない。金の値打ちが下がって、超インフレを招かぬことを祈るばかりだ。

 こんなことを書いていると、どうにもこうにも疲れてきた。いいニュースは少なく、悪いニュースはいつの時代でも多いものだ。けれど、こんな殺伐とした時代が、自分が生きてきた時代の中であっただろうか。いいも悪いも自分はここに生きている。生きなけりゃしかたない。文句言うなら、なぜ自分の情熱と叡智と忍耐でもって政治に関わろうとしないかだって?

 言っただろう。ぼくは高校時代からのノンポリだって。政治にくみしたくないんだよ。なにっ、ただの文句言いだって! ばぁろ、ちゃんと税金払ってるよ。人並み以上にな。
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紅葉狩り
 今年の紅葉は殊のほか美しい。半袖から長袖&ベストを着る間もなくセーターに変わってしまうくらい、寒さの訪れが急だったからだ。

 楓は真紅に染まり、銀杏は限りなく黄金色になっていた。今日は雲ひとつない快晴で、晩秋の穏やかで、きめ細かい太陽の光線が、色鮮やかな紅葉を葉裏まで透き通して見せてくれた。バーディーパットを決めたとき、目の前にあった楓は実に味わい深いものだった。

 そうやって、自然を満喫できていた午前中はいつにないいいスコアで、まちがいなく11月度月例杯の優勝ペースだった。が、昼食に腹一杯ビビンバを食べてから、午後のハーフは紅葉に目が行かなくなった。浮かれていた気分は突如として、池ポチャでかき消され、優雅な面持ちは愚痴りと変わり果てた。

 湯船につかりながら、窓の外の紅葉を見た。夕映えが楓の赤を神秘的にすらしていた。スコアや成績などどうでもよくなった。わずかな季節のわずかな一日、そのまたさらにわずかな時間に見ることのできるもの、ただただひたすら優雅さに満たされて、ひとり湯の中に漂っていた。
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いまにし亭 4
 ロシアの古都は?/日曜京都10R

 11月17日は「将棋の日」だそうな。徳川8代将軍吉宗が毎年、この日に御前対局を催したことから、日本将棋連盟が1975年に制定した。

 将棋に縁のある馬を探したが見あたらない。ようやく中山11Rにノムラリューオーというのがいた。飛車が相手陣に入ると「竜王」というものになる。あとはマイルCSのミツワトップレディー。

 その馬のどこが将棋に関連するんだ?乗ってるのが「角」田だから…。 しかしいずれも勝負するには余りに危険。ここはそれぞれ300円ずつの複勝にとどめておこう。

 勝負は京都10R古都Sのレニングラード。そりゃ京都や奈良に比べりゃ歴史は浅いが、ロシアでは立派な古都だろう、レニングラードは。菊花賞は6着。位置取りが後ろ過ぎて届かなかったが、力のあるところは見せた。成長力に富むトニービン産駒。今後はもっと楽しみだが、まずはここで実力の片鱗を見せる。馬単13から1、3、4、7、10、11。3連複3−7−13、3−13−14、1−3−13。

 ★こういうウケ狙いで書くからまるっきり当たらない。困ったもんだ。

 ◆今西和弘◆ by Nikkan Sports

 昨年11月1日付で、競馬レース部デスクから電子電波情報本部に異動。
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いまにし亭 3
 東京・池袋の新文芸座へ黒沢明の「赤ひげ」を見にいって、ついでに女優のブロマイド(浅草の老舗マルベル堂では「プ」ロマイドという)を買った。女優といっても、今様のひとじゃあありません、昔の大女優で原節子、八千草薫、岸恵子の3人。会社のデスクに飾っていたら、はたちを出たばかりのアルバイト嬢に「だれですか、これ」と言われた。そりゃそうだろう。
 
 で、本日の狙いは中山6Rのラインアクトレス(女優)。勝って同条件とはいえ、相手が牡馬になってどうかだが、状態は悪くない。馬連で6から1、2、3、10へ。3連複で2−3−6、1−3−6、1−2−6。
 京都10R八瀬特別も買う。映画に関連するならエルウェースター。2400メートルならトニービンの血が黙っちゃいない。6から馬連3、7、9、10、13。3連複3−6−13、6−9−13、6−10−13。

 近頃見る映画は大体が古い作品なのだけど、とにかく役者がすごい。「赤ひげ」もほんのチョイ役で出る俳優陣の厚いこと。中でも杉村春子のうまさにはため息が出る。この作品、黒沢・三船コンビの最後だが、「人間が人間を信じることが出来る映画を作ろう」という黒沢監督の思いが集約された素晴らしい映画。前にも見ているが、感動の度合いは今回の方がはるかに大きい。

 フジテレビが年末に江口洋介でこれをリメイクするらしい。さて、どんな出来栄えになるのやら…。

 ◆今西和弘◆ by Nikkan Sports

 昨年11月1日付で、競馬レース部デスクから電子電波情報本部に異動。
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イトウチュウ
ナカタさんの弟がイトウチュウの部長だというので
きのうイトウチュウの株を買ったら
買った値段より10円も下がって安値引けした。

が、なんと今日は買い気配で始まり、
きのうの終値より15円高くで寄り付いた。
負けは覚悟、チャラでよいとコストで指していたので
チャラより1円高く売れてくれた。
だから、結果としてゴルフ2回分が浮いた格好になった。
ナカタさんからのプレゼントであるとも言える。

で、今日の終値はというと、またまた安値引け、
売った値段よりも21円も下がっていた。
近年、悪名高い大手四大銀行が下げを率先し、
東京証券取引所はまたまたバブル崩壊後の最安値を更新してしまった。
UFJホールディングスに至ってはストップ安売り気配、
「国有化」という風説の流布でもないような北風が兜町辺りで吹いていた。

貸しはがしで潰さなくてもよい中小企業を潰し、
とっくに潰れているはずの大手不良企業の
数千億円という巨額な負債を免除する
この国の金融システムの歪みに対する警鐘だ。

小泉は能天気で経済音痴で、
今日本が直面している危機がわかっちゃいない。
かといって、代わりがいないからただの人気投票でもっている。

ナカタさんは扉を閉めないままに死んでしまった。
「ナカタは頭が悪いのでなにもわからないのであります」
そう、誰も彼も頭が空っぽでなにもわかっちゃいない。
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ナカタサン
少年カフカの章よりも
ナカタサンの章のほうが興味深く、
少々カタカタの固有名詞の多さに辟易しつつも、
最後の章だけを明日の楽しみに残して休みます。
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酒と煙草
酒も煙草もやらない。
といって、禁酒 禁煙をしてるわけじゃない。

酒は勧められると口にするけど、
煙草は二十歳のときにやめたままだ。

決してストイックな生活を進んでやっているわけじゃない。
現状、その二つを肉体が欲しようとしないだけだ。

飲む、打つ、買うの男の三つの遊びをしたことがないなんて、
嘘偽りを言うつもりも毛頭ない。
いろいろ経験して悟りを啓いたなどとも思わないで欲しい。

その二つをやらない分、
週末にゴルフができて、
いつでも好きな本が買えるという状況にある。
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落葉
 紅葉の真っ盛りになった。街路樹の落葉が始まった。風に吹かれて、そこかしこに定めなく落ち葉が飛び散っている。そのうちに落ち葉は、決められた位置があるかのように、各々の場所へと集まってきて、いつかしらどこかへ消えてしまう。

 落ち葉は風雨、風雪に打たれて、冬の間に腐食し、土と化していく。ぶなの木々が並ぶ山、森林が肥沃なのは、とりわけ落ち葉が多いからだと言われている。落葉樹の枯葉は、良質な腐葉土となり、山々のエネルーギー源となっていく。人の住む大地に、山々や森林がもたらしている恩恵は計り知れない。

 落葉は季節の終わりだが、季節の始まりのための準備でもある。冬眠する動物がいるように、木々もまた一冬の眠りにつこうとしている。紅葉は一旦の別れのフィナーレであり、生きとし生けるものの美しくも儚い命であるともいえる。
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さらば松井、されどカブレラ
 久しぶりに野球中継を見ていた。日米オールスター第一戦である。試合中継が途中で打ち切られたので、勝敗の行方はまだ決定していない。が、大量リードしている日本チームが先勝しそうである。

 全国的に「松井、松井」と狂想曲が流れている昨今だが、僕は松井秀喜の決断を勇断だと思うし、彼のひととなりに敬意を表してもいる。アンチ巨人ではあるのだけれど。イチローよりずっと好きだといっていい。

 今日のゲームの見所は、まず上原浩二の力投にある。上原は大阪体育大学の卒業時、進路をアナハイム・エンジェルスか巨人かと迷ったほどだから、もともとメジャー志向が強かった。メジャーが誇る強打者バリー・ボンズを、三度、空振りの三振にうちとった熱投は、日米野球の歴史に名をとどめるほどのものだった。

 それから、昨年メジャーを追い出されるようにして日本にやってきて、今年、日本記録タイとなる55本のホームランを打った、アレックス・カブレラに視線が走る。レフトスタンドへ飛び込んでいった彼の打球には、燃えるような情熱がこもっていた。かつて、一度たりとも、日米野球で、外国人選手が日本チームの一員としてプレーしたことがあっただろうか。カブレラの熱い視線は、ひたすら再来年の捲土重来を期しているように思える。

 前監督、野村克也に干されていた今岡が先陣ののろしを打ち上げた。ケチックスの冷遇に対して、谷が反撃を開始した。西武の松井が「おれはリトル松井じゃない」と自分をアピールした。中村がメジャーにもひけをとらない打球の早さで、浪花の男っぷりを披露した。

 今日の試合は血沸き肉踊るというほどのものではなかったが、なかなかに楽しめるものだった。が、ここでちょいと注文、NHKでやってたなら、もっともっとよかっただろうということ。

 民放だからCMはしかたないが、野球のやの字も知らないタレントを、ゲストとしてなんで呼ぶのだろうか。客寄せパンダのように、よくタレントがスポーツ中継に顔を出すが、快く思っている通のファンはいないはずだ。普段の中継においても、アナウンサーの声だけでも、複数の解説者の解説(?)だけでもいい加減やかましいのに、と憤りさえ覚えてしまう。彼らがしゃべくりに登場したのは、上原の最高の熱投シーンだった。

 今年、巨人主催ゲームにおいて、NHKが5回中継をしたのだが、その視聴率は、日本テレビ系列のものをはるかに上回っていたという。やはりNHKは野球そのものを楽しませる配慮をとっていて、バラエティー番組にうつつをぬかす馬鹿な解説者を使ったりはしない。

 とまあ、NHKの肩を持ってしまったが、まあ、民放さん、ヤラセのドキュメンタリーなんか組まないで、せいぜい独自色を出して、いい番組を作ってくださいな。さて、まさか逆転されたんじゃないだろうな。ヤフースポーツで結果を見ようっと。
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いまにし亭 2
 あすのエリザベス女王杯はアクシデントがない限り、ファインモーションが勝つだろう。間違っても2着は外すまい。穴党もお手上げ、である。こんな物語でお茶を濁そう。

 昔、昔のことです。ファイン国の王女様でモーション姫という方がおりました。もともとはこの国ではなく、よその国でお生まれになったのですが、それはそれはかけっこの速いお姫様。近郷近在の娘っこと争っても負けるということを知りません。

 きょうも、優勝者には大ブリテン国の女王様の冠をいただけるという競走に出ることになりました。今回の競走は、これまでのように同い年の娘っこばかりじゃなく、年上のお姉さま方も一緒に走るのですが、まず負けることはないだろう、というのがもっぱらの評判。
 
 召使い 「お姫様、勝ったあとのパーティーには何を着てゆかれますか」
 姫   「(ジェミー)ドレスにしましょう」
 召使い 「ネックレス、指輪は何を」
 姫   「もちろんダイヤモンド(ビコー)だわ」
 召使い 「大きさは?」
 姫   「じユウキャラット(10カラット)でいいでしょ」
 召使い 「パーティーのあとは」
 姫   「ユタカ王子と(チャペル)コンサートよ」

 ということで、馬単12から5、7、9、11。3連複は5−7−12、5−9−12、5−11−12、7−9−12、7−11−12、9−11−12。

 ◆今西和弘◆ by Nikkan Sports

 昨年11月1日付で、競馬レース部デスクから電子電波情報本部に異動。
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遺伝
 娘は陸上競技が嫌いだ。兄が短距離走が速いのに、自分が同じように速く走れないからだ。娘は苦手なところがあると、私に似ているせいだという。

 たしかに妻は短距離選手だったから、あまり速く走れないのは、私のせいなのかもしれない。娘は容貌が私に似ているらしく、よくおとうさんそっくりねと、私を知る人に言われるようである。

 子供は両親の遺伝子を受け継いで生まれてくる。その受け継ぎ方は、女子が父親、男子が母親というクロス遺伝、同性であれば祖父母からの隔世遺伝のいずれかが多いらしい。

 そう考えると、長男は両親に似ず、堅苦しいほど几帳面なので、私の父と似たところがある。娘は自他ともに認める天然ボケなので、妻および妻の母の特性を受け継いでいる。我が家の女性は、三代続いた天然ボケであることを妻は自覚している。最も、愛知県の妻の母がそのことを自覚しているかどうかについては、定かではない。

 娘は兄ほどに賢くはない。が、妻は私より賢くもない。まあ似たようなもの、もしくはちょいとだけ私が優っていると自負している。それは賢明だという意味ではなく、頭脳明晰のほどがどうかである。都合の悪いことだけを私のせいにすることを、あまり私は快く思ってはいない。

 娘はどちらに似ていたほうが容姿端麗なのかを、考えようとはしてくれない。娘がぼやくとき、いつも妻は笑って訊いているだけだ。そして、娘に、あなたはおとうさんそっくりね、と念を押す。

 プロ野球の人気選手が、よく美人の女優やアナウンサーと結婚をする。彼らに子供が生まれ、その子供たちが大人になったとき、たいていの男子は父を超えられず、女子は母の美貌を超えられない。クロス遺伝が働いているからだと思う。幸か不幸か知らないけれど、子供たちは両親より、平凡たる人生を送らざるをえなくなってしまう。色に溺れ、二兎を得ようとしても、年とれば一兎も残ってはいない。

 優れた人がより優れた子孫を残したければ、スポーツマンはスポーツウーマン、学者は学者、美男子は美女、というふうに恋の選択肢を決めておくことだろう。もしくは恋愛と結婚は別と割り切って、コンピューターがはじき出した、理想のDNAを持った相手と交渉してみることしかない。オリックスの谷選手と柔道のやわらちゃんみたいに相思相愛になれれば言うことはないのだが・・・・・・・。

 さて、我々のような平凡な二人から発生した子供たち、可能性は極めてうすいが、世に出て名をなすかどうかは神のみぞ知るである。親を見て判断するなかれ!
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いまにし亭  
 山田洋次監督の新作「たそがれ清兵衛」はしみじみと心にしみ通るいい映画だ。「男はつら
いよ」シリーズでもそうだったが、山田監督の映画は、分を守った暮らしの中で、いたわりあい、支え合う人々(家族、近所つきあい、ゆきずりの人たちなどなど)を温かい目で見守る。

 この映画も又、幕末のある東北地方の藩に暮らす下級武士を主人公に、心豊かに生きるとは
どういうことなのかを描く。「真の豊かさを与えてくれるのは決して富や地位ではないのだ」を、声高に叫ぶのではなく、淡々と描く。すみずみまで行き届いた画面構成(大映で腕を振るった西岡善信が美術を監修)は、全盛期の日本映画の財産がまだ失われていないことを感じさせて快い。

 ヒロイン役の宮沢りえが実にいい。ふんどし写真集や貴乃花との破局、自殺未遂などアイドルの頃の騒動がまるでうそのように、楚々とした武家の女を好演している。

 と、まあ映画評のようになってしまったが、一見に値する作品であることは間違いない。で、本題。「たそがれ清兵衛」は藤沢周平のいくつかの作品をベースにしている。その映画で
ハッピーな気分になれた。中山10RノベンバーSのハッピーパスが狙い。きゅう舎も「藤沢(和)」だし。休み明けでもきっちり乗り込み力を出せる仕上がり。相手は同じ「ハッピー」のハッピーリクエストと、同じ藤沢きゅう舎のプレジオ。馬単8−2、8−9、3連複2−8−9で、競馬でもハッピーな気分に!

 ◆今西和弘◆ by Nikkan Sports

 昨年11月1日付で、競馬レース部デスクから電子電波情報本部に異動。
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Somewhere over the Rainbow
 いつものランチタイム、ウォーキングの折り返し点の整形外科で電気治療を受けているときだった。約三キロのウォーキングとその治療は、三年前、椎間板ヘルニアのレーザー手術を受けてから、ほとんど毎日欠かさずに続けているものだ。週末にゴルフをするために、二度と足が動かなくなるほどに腰椎を傷めないために。
 
 横になって気持ちよく、ついうとうとなっていたときだった。なつかしい調べが有線放送から流れてきた。微妙にソフトにアレンジしてあるので、なかなか曲名が思い出せない。記憶をたどるようにハミングしてみる。だが、約五分間、調べが終わるまで思い出せなかった。

 係りの二十代の女性がやってきて、腰から器具を外してくれるとき尋ねてみた。

 「聴き覚えがあるんだけど思い出せない。さっきの曲の名前、知らないかい?」

 「最近よく流れているんですよ。ええっと、なんだったかなあ?」

 「映画音楽かなんかじゃないのかな?」

 でも、自分でそうじゃないと思っていた。ズボンのベルトを締めながらたちあがって、ふと、窓から空を見上げてみた。

 「あっ、オーバー・ザ・レインボー!」

 「虹の彼方に!」

 二人がとっさに気づいて声をあげたのは同時だった。そして、・・・・・。
 
 「コンサートでエリック・クラプトンが歌ってた」

 「CMで流れてるんですよ」

 帰路を、勢いよく腕を振って闊歩しながら、Harold Arlen 作曲の「Somewhere over the Rainbow」を口笛で吹いていたことは言うまでもない。彼方に見える山々の紅葉はもうすぐになっていた。
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読書の秋
 「おとうさん、何か面白い本ない?」

 娘は自分で読み物を買おうとはしない。
 手持ち無沙汰に何か読みたくなったとき、たいてい僕のところへきて『面白い本を』と言う。これまで僕は、娘が楽しめるだろうと思うものを推してきた。今のところあまり外れはなかったようだ。この前は古いミステリーだったが、ロス・マクドナルドの『さむけ』はとても気に入っていた。

 「今度はどんな話がいいんだい?」

 「推理小説はちょっと遠慮しとこうかな。前に読んだ『ノルウェイの森』がよかったから、村上春樹のでいいのない?」

 『ノルウェイの森』は恋愛小説で、村上春樹の作品の中ではとても溶けこみやすいものだ。彼の作で似たようなものは、この書棚には見当たらない。『国境の南、太陽の西』というのがあるが、どうもいまひとつだ。そこで選んでやったのが『ねじまき鳥のクロニクル』の三部作。加えて藤沢周平の『蝉しぐれ』を渡してやった。

 娘は、時代物の『蝉しぐれ』を受けとることを躊躇したが、「これはとても楽しい青春小説だ」という僕の言葉を、半信半疑で信じることにして、計四冊を持っていった。

 二週間後のことである。

 「ねじまき鳥のなんだっけ、あれよくわかんない。ちょっと抽象的で・・・・・、最後まで読んだら面白くなるかなあ。『ノルウェイの森』とは全然ちがうよ。わたし、あたま悪いからなあ」

 「ふうん、じゃ、まだ読んでないわけだ。まあ、読解力をつけるつもりで全部読み切ってみたら」

 「『蝉しぐれ』はとってもよかった。二回も読んだよ。あの主人公の青年、めちゃかっこよかった。感激したわ。薦めてくれてありがとう。藤沢周平のほかのも読んでみたいな」

 とかく読書とはこんなものである。娘は現在『ねじまき鳥のクロニクル』と格闘中である。むろん、僕が予期していたとおりになったことは言うまでもない。
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BGM
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Piano Man  by Billy Joel
Yoursong  by Elton John
Everything I do  by Rryan Adams
The great gig in the sky  by Pink Floyd
Piano Man  by Billy Joel
Leningrad  by Billy Joel
Energy Flow  by Ryuichi Sakamoto
Il Ferroviere  by Calro Rustikeri
Tears in Heaven  by Eric Clapton
Evening Falls  by Enya
True Colors  by Cyndi Lauper
You've got a friend  by Carole King
Nocturn  by Chopin
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寒い日はUSJよりハリー・ポッターのほうがいい
国有化うんぬんと物議をかもしているUFJ。
度重なる不祥事で社長が引責辞任したUSJ。
年配の人にはどっちがどっちだかわからない。

突風が吹き、真冬のように寒かった今日一日。
たまさかの家族サービスに行ったのは、今年二度目のUSJ。
真夏には時間が足りなくて行けなかったETゾーン、
満天の星々が煌めく夜空を
子供と二人で自転車で駆けたのは最高だった。

が、似非ハリウッドの眺めにも少々飽きがきて,
どこもかしこもあまりに値段が高いのに閉口させられた。
とりわけ飲食のそれが著しく、
超インフレ時代はこんなものかと恐怖したほどだ。

例えば喫茶店のカレーライスが500円、
ゴルフ場が1000円、
USJでは2000円という具合。
外にあるマックのハンバーガーが60円で
中のKWBBがちょっとサイズは大きいが880円。
味のほうはどうかというと、
極めてUSJがまずくて、
おまけにマニュアルだらけのセルフサービスときている。

代わった社長に言ってやりたい。
自分の金で食ってみて客の気持ちを考えてみなさい。
まずくて滅茶苦茶高いものを食らわされるものの気持ちを。
馬鹿野郎、一人5500円も払って入ってやってるんだぜ。

もう行かないと思うけど、
もしまた行くときがあれば
まずいけど格段に安いマックを持って入ろう。
もしくは弁当と水筒を持っていこう、みなさんも。
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