The Last Samurai
 数年ぶりに友人A宅を訪ねた。が、ぼくが着いたときには、Aは町内の仲間たちと一泊二日で、日本海へカニを食べに出かけたところで、タッチの差で出会うことはできなかった。途中の喫茶店でランチを待たされたのが悪かった。

 玄関で彼の奥さんと話をしているときだった。無精ひげをたくわえた青年がやってきた。青年は昔のAそのままの風貌だった。伏目がちに話す仕草、けど意志の強そうな眼差し・・・・・。

 「おい、いくつになったんだ?」

 「19歳です」

 「おやじそっくりだな。で今なにをしてるんだ?」

 「ちょっと前まで、半年ほどニュージーランドにいたんです。おととい帰ってきたところで、就労ビザがおりたらまた行くんです」

 「就労ビザって、ニュージーランドで働いているのかい?」

 「今まではホームステイだったんですけどね、今度は仕事を兼ねていくんです。トム・クルーズの『ラストサムライ』のロケを来年からニュージーランドでやるの知ってますか?」

 「トム・クルーズってハリウッドの俳優だろ。ちょっと前、姫路に来てたぞ」

 「それですよ。最後のロケは四ヶ月間ニュージーランドであるんです。おれサムライのエキストラで出演することになっているんですよ」

 「ふうん、それでギャラくれるの?」

 「週、日本円で四万円、あっちは物価が安いですから結構いい給料です。エキストラは全部日本人で、300人ほどかな?」

 まあ、それからAのお母さんが出てきて、昔話に花を咲かせてみたり、かみさんと息子が走りまわったり。で、帰ってきて「ザ・ラスト・サムライ」を検索した結果。2003年12月12日、日米同時公開予定、ちなみにトム・クルーズのギャラは推定24億円。映画制作費は300億円。日本人の出演者は渡辺謙、真田広之など。詳しくは The Last Samurai

 ということで、昔のAが出演するラストサムライはちょうど一年後に封切りとなる。それにつけても、サムライ映画をニューランドまで行って長期ロケしなくてはならないとは、すでに日本はサムライの国でなくなったということであろうか。もしくはどうしようもなくせせこましい国土になりはてたか・・・・・、まあハリウッドが考えることをどうのこうの言ってもしかたない。

 若かりしころのAにサムライの気質があったかって、それは今でもわからない。ただ、メンタル的強さは息子に受け継がれている気がする。さて来年のこと、300人の軍勢の中からAのあのころを探し出すことができるかどうか。どうにも楽しみになってきた。

 最後にトム・クルーズと4ヶ月間のエキストラ・ニュージーランドツアーをお楽しみになりたいかたは、以下のところまでお申し込みください。ひょっとして、ハリウッドスターへの道が開けるかも・・・・・。

 京都府京都市右京区太秦堀ヶ内町12-9
 075-864-8922(担当:早川)
 lastsamurainz@yahoo.co.jp