2004年07月の記事


クレマチス (キンポウゲ科)
Clematis



 いちばん作ってみたい庭、それはクレマチスガーデン。気品あるホワイトを中心に、さまざまなクレマチスを四季折々に咲かせてみたい。洋の東西で美術の主題となっており、クレマチスの花に囲まれた庭での暮らしは、なんと優雅な趣きなのだろうと憧れてみたりするのである。

 クレマチスは、キンポウゲ科クレマチス属で、つる性宿根草の植物である。クレマチスという呼び名よりは、「テッセン」という名で広く一般に知られているが、テッセンは江戸時代に中国から渡来し、茶花として愛された白い花弁に紫色の弁化したおしべを特徴とするクレマチスの一品種(原種)のことである。よく園芸店でテッセンの名前で見かけるカラフルな花色の鉢植えはクレマチスで、その殆どは古からのテッセンではなく他の品種だ。それほどテッセンは、日本人に昔から親しまれていたともいえる。(「クレマチス」は、テッセンを含め、様々な品種にたいする総称名として用いる)現在のクレマチスの多くは、日本の自生種「カザグルマ」が、ヨーロッパに渡り外国の他種との交配により品種改良され、日本に戻って来た。近年では、国内でも育苗業者や愛好家により新しい品種が次々と作出され、色彩や花形がとても豊富となり、四季咲き性のものも多く、春から晩秋まで楽しむことができる。

 クレマチスの花色には、紫・青・白・赤系等の単色の物から、他の色の筋が混ざるものなどがある。花形は多くの品種は一重で、時折八重のものや、開花時期や成育状況などにより八重が混ざる半八重のものが見うけられる。花弁(実際には、がく片)の形状は、先が丸いものや刺のように突き出したもの、花弁の周囲が波うったようになるものもある。このように、クレマチスは品種改良によって種類がとても豊富なので、其々の特徴の違いを楽しむことができる。クレマチスを鑑賞する上での仕立てかたには、フェンスや垣根に這わせる方法(手間があまりかからない)や、日本古来からのあんどん仕立て(朝顔で用いる鉢仕立ての方法で、あまり場所をとらない)、最近ではバーコラやコンテナ、ロックガーデン仕立てで、周囲とのマッチングを楽しむ向きも増えてきた。クレマチスは、開花鉢を購入して楽しむのが通常だが、挿し木で意外と簡単に殖やすことができる。苗木から立派な成木に育て、たくさんの花を鮮やかに咲かせるのも楽しみといえる。

 クレマチスは乾燥と高温に弱く、寒さには強い。真夏の管理は、鉢植えは半日陰、地植えされているものについては、午後の強光が当たらないように注意してやる。また、病虫害に侵されやすい。特に立ち枯れ病という病気で、薬剤散布を定期的に行い予防に努める。アブラムシやカイガラムシなどがよくつくので適切な薬剤散布を心がける。また、冬季には多すぎる枝を整理し、バラなどと同じように剪定をかならず行う。

 花言葉 高潔
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サルビア (シソ科)
Salvia



 サルビアは下記の歌ほどには叙情を感じさせる花でない。ぼくには、子供達が花壇をとりかこんで、雄しべをとりあい、ほんわかと甘いその先端の蜜をなめる光景がよく浮かぶ。サルビアの花の歌は1960年代にできたのではないかと思う。あのころ、フォークギター片手に弾き語ったり、校庭のポプラの木を囲んで、少しの男子生徒と多くの女子生徒が合唱する姿を目にした気がする。おそらく作者の目にもサルビア自体が叙情的だったのではなく、君という存在の中に偶然サルビアが介在してこの歌を作らしめたのだろう。あの時代の夏、まだまだ家庭園芸は貧弱で、思いうかぶ花はひまわりか朝顔かマツバボタンだった。ひょっとしてサルビアの花がハイカラだったのかもしれない。また、ペチュニアやサフィニアでは歌の文句に使いにくい。

 さて、今年はうちの花壇にもサルビアが咲いている。アコスティック・ギター片手に、昔の杵柄で弾き語りをやってみようか。コードは簡単である。日没サスペンディッドにならないうちに。ギャラリーはもちろん、蜜目当ての息子だけである。「ダサい歌やなあ」というのは目に見えている。が、なまじっか郷愁にひたられるかみさんよりはずっといいのである。

 C   B    Am 
いつもいつもおもってた
F     G
サルビアの花を
C     B  Am F  G   C
あなたの部屋の中に投げ入れたくて

  E7    Am
 そして 君のベットに
    F    Dm   E7
 サルビアの紅い花をしきつめて
  Am
 僕は君を
   F     Dm    G
 死ぬまで 抱きしめていようと

なのに なのに どうして
他の人のところに
僕の愛の方がすてきなのに

 泣きながら 君のあとを追いかけて
 花ふぶき舞う道を
 教会の鐘の音は
 なんてうそっはちなのさ

とびらが開いて出てきた君は
偽りの花嫁
ほほをこわばらせ 僕をチラッと見た

 泣きながら 君のあとを追いかけて
 花ふぶき舞う道を ころげながら
 ころげながら 走りつづけたのさ


 サルビアの花 歌:早川義夫/詞:相沢靖子/曲:早川義夫


 サルビアの仲間は、世界の熱帯から温帯に約750種が分布する。シソに近い仲間で、茎葉に独特の芳香をもつものが多く、香辛料あるいは薬用に使われたりする。この花の雄しべは、上側の2本は退化してなくなり、下方の2本だけが大きく発達して目立つようになっている。

 最もよく栽培されるサルビアは、花壇植えの代表種のスプレデンシスで、単にサルビアといえばこの種をさす。スプレデンシスは光り輝くという意味。ブラジル原産の宿根草だが、通常は春蒔き一年草として扱われる。1822年にヨーロッパへわたり、日本へは明治半ばごろに入ってきた。

 色彩はほとんどが赤を原色とし、ついで紫色、ごくわずかに白がある。発芽生育には、高温が必要なため、温床がない場合は、五月以降の播種とする。また、園芸店で三月半ばごろから苗が売られているが、気温が低いと生育が思わしくないから、桜の開花が終わってたころ以降が安全である。盛夏に株が弱り、花つきが悪くなるときがあるが、そんなときは株を半分くらいに切りこんで、追肥をしてやると、秋には再び側枝を伸ばして、よりきれいな花をつける。

 花言葉 赤色 燃ゆる思い。憧れる。
     紫色 知恵。知識。
     白色 精力絶倫。勢力をもっている。
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ジニア (キク科)
Zinnia



 ジニアとはいわゆる「百日草」のことで、約17種がメキシコに野生している。日本では極めてよく知られている草花で、初夏から中秋までの花壇を彩る。が、マリーゴールドほどには長く美しく咲かない。多湿によるウドンコ病の発生が、栽培しやすいこの花の唯一のネックとなっている。

 18世紀に、やはりヨーロッパ(イギリス)へ移入されて、ジニアの改良が加えられた。高性大輪ダリア咲き、高性大輪カクタス咲き、高性中輪咲き、小輪ポンポン咲き、わい性種などが代表的なものである。写真のジニアは、1973年日本産第1号として発表された、カクタス咲き混合種の「サマードレス」である。

 栽培方法は簡単なので、播種からの栽培をお勧めする。種子は病虫害に強いF1種(一代交配)を選び、花壇用ならわい性種、切花用なら高性の大輪咲きを選択する。生育適温は摂氏15〜20度、四月ごろより苗床に種をまき、本葉が出てきたころ移植、蕾が見えてきたころに定植をする。開花は日長によって左右される。例えば10時間以下の短日下では早くなり、逆に14時間以上の長日下では遅れる。ジニアは短日下植物で、短日下で多花性になり、花は小さく八重率も低下し、草丈も低くなる。

 花壇では予め苦土石灰と有機質肥料を施し、十分に耕しておく。肥沃な土壌では草勢が強く、著しく生育が早い。定植後1ヶ月で土肌はジニアに覆い尽くされる。わい性種はプランターなどベランダ園芸にも適している。

 長期の開花には花がら摘みが大切である。害虫はめったにないが、幼苗のころアブラムシがついたり、開花後に蛾の幼虫が茎を食害して枯らすことがある。オルトランやスミチオンなどで駆除をする。また梅雨期の終わり、灰色カビ病やウドンコ病が発生することがある。前もって、ダイセンまたはベンレート水和剤で予防する。

 和名 百日草
 花言葉 亡き友を偲ぶ
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マリーゴールド (キク科)
Tagetes



 マリーゴールドは暑さに強く、病虫害も少なく夏花壇の主役だ。この花は大別して、わい性のフレンチと草丈の高いアフリカンに分類される。もともとはメキシコ、中南米の原産で、16世紀の後半にヨーロッパへ渡り、以後4世紀、改良が加えられ、現在に至っている。花壇のみならず切花としての需要も多い。

 わい性種はパリの王宮の庭に多用され、それが各地へ次第に広まっていったことからフレンチの名が生れた。また、切花として多用される大輪種は、17世紀にチャーチル5世率いるイギリス軍が、チュニジアへ遠征したとき、この花をもっていって栽培し、同地に広まったことからアフリカンの通称が生れた。

 栽培方法は4月以降、苗床に播種し、本葉が出てきたころ、育苗ポットに移植する。発芽はたやすく、播種の時期も長く、根は移植に強い。根が十分にはり、蕾が見えてきたころ、花壇やプランターに定植する。株間は30センチほど、高性のアフリカンだと50センチくらいとったほうがよい。日当たりと排水のよい場所を好み、土質はあまり選ばない。植え終わったら、真夏の乾燥を防ぐために、土表のバーク堆肥でのマルチをお勧めする。

 初夏から晩秋まで咲き続ける。秋の開花は見事で、株が花でうずまってしまう。とりわけ晩秋の紅葉の季節は、満開の花が紅葉のように光り輝き、名前のとおり黄金の花となる。夏期に茎葉が繁茂しすぎて花数が少なくなるときは、草丈の3分の1くらいを切りもどしてやる。また、こまめに花がら摘みをしてやることが、草勢を衰えさせない。病気予防と種子をつけさせないためである。子孫を残す=種子をつけると植物の寿命は縮まる。

 我が家の花壇の前方はマリーゴールド・フレンチである。アフリカンよりずっと栽培がしやすい。アフリカンが背が高くなるので支柱が必要で、豪雨に弱い傾向がある。開花期も初秋までである。後方にはジニア(百日草)を植えている。色彩のコントラストはベストだといってよい。

 和名 万寿菊
 花言葉 愛に冷たい。嫉妬はおやめなさい。
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