紅葉狩り
 今年の紅葉は殊のほか美しい。半袖から長袖&ベストを着る間もなくセーターに変わってしまうくらい、寒さの訪れが急だったからだ。

 楓は真紅に染まり、銀杏は限りなく黄金色になっていた。今日は雲ひとつない快晴で、晩秋の穏やかで、きめ細かい太陽の光線が、色鮮やかな紅葉を葉裏まで透き通して見せてくれた。バーディーパットを決めたとき、目の前にあった楓は実に味わい深いものだった。

 そうやって、自然を満喫できていた午前中はいつにないいいスコアで、まちがいなく11月度月例杯の優勝ペースだった。が、昼食に腹一杯ビビンバを食べてから、午後のハーフは紅葉に目が行かなくなった。浮かれていた気分は突如として、池ポチャでかき消され、優雅な面持ちは愚痴りと変わり果てた。

 湯船につかりながら、窓の外の紅葉を見た。夕映えが楓の赤を神秘的にすらしていた。スコアや成績などどうでもよくなった。わずかな季節のわずかな一日、そのまたさらにわずかな時間に見ることのできるもの、ただただひたすら優雅さに満たされて、ひとり湯の中に漂っていた。