ない袖は振れない
 ある金融機関の調査によると、日本国民(法人を含む)の全預金高はおよそ1400兆円と推測されている。何を根拠にはじき出されたのかはわからないが、全然イメージがわかないほどの膨大な金額である。

 またある金融機関の調査の結果である。その1400兆円の預貯金の全額を、国民が、銀行なり郵便局で換金しようとするとどうなるかだが、その半分も返却できない状況という。別な外資系金融機関では三分の一以下だという声さえある。ちなみに郵便局が大丈夫で、銀行のほうがやばいかというと、そんなときは公民関係なく、何もかもやばいのである。

 融資全額を回収すれば帳尻が合うかといえば、いくらかは埋まるだろうが、全然十分じゃない。その点では、銀行のほうが郵便局よりちっとは脈がある。7〜8年ごろ前まで郵便局の貯金の利息はかなりのものだったが、融資事業ができない郵便局がどうやって利息を生み出す運用をしていたのか。高度成長とインフレに乗っかって、債券や株式に運用して利益を生んでいただけである。まあ、銀行にも生保にも似たようなことがいえるんだが、預金を運用しているはずの財政投融資が、取り戻しようのないほどの、信じられないようなパーセンテージの損失を抱えている。

 我々庶民にとって、銀行も郵便局も単なるお金の通過点にしかすぎないものになった。預かり利息はないに等しく、ただ預けておくにもリスク管理が必要になってきた。リスクはすべて自己責任というこれからが目の前に見えているようだ。まあ、とにもかくにも、お上がない袖は振れないと言ったときは日本沈没である。死なばもろとも、赤信号みんなで渡れば怖くない。で、頃合い見計らって、「おいら いち抜けたぁ!」と言ってみたくもあるんだが・・・・・。