落葉
 紅葉の真っ盛りになった。街路樹の落葉が始まった。風に吹かれて、そこかしこに定めなく落ち葉が飛び散っている。そのうちに落ち葉は、決められた位置があるかのように、各々の場所へと集まってきて、いつかしらどこかへ消えてしまう。

 落ち葉は風雨、風雪に打たれて、冬の間に腐食し、土と化していく。ぶなの木々が並ぶ山、森林が肥沃なのは、とりわけ落ち葉が多いからだと言われている。落葉樹の枯葉は、良質な腐葉土となり、山々のエネルーギー源となっていく。人の住む大地に、山々や森林がもたらしている恩恵は計り知れない。

 落葉は季節の終わりだが、季節の始まりのための準備でもある。冬眠する動物がいるように、木々もまた一冬の眠りにつこうとしている。紅葉は一旦の別れのフィナーレであり、生きとし生けるものの美しくも儚い命であるともいえる。