ノンポリ
 ぼくのノンポリ精神は高校時代からだ。
 キャプテン翼は好きだったけれど、右左の翼は好きじゃない。もちろん、野球の左右の外野手の守備位置のことじゃない。

 尼崎市長選挙で、42歳のもと全日空スチュワーデスが、与党野党相乗り推薦の現職を破って見事当選を果たした。共産党の支持さえなければ、完璧な賞賛に値する快挙だ。ちなみにぼくは共産党は嫌いだ。屁理屈こねるコミュニストが好きじゃない。と言って、公共事業のしがらみに代表される俗物たちも大嫌いだが。

 今の日本、政治なんて誰がやっても同じこと、どうせならじいさんよりも若い人、ダサいおじさんよりもいかした女性、かてて加えて賢明であればいうことない。と国民が考えはじめたのは、自明の理であるようにも思えてくる。

 ありきたりよりは破天荒に、例年に倣ってよりは斬新に、そんなふうに物事を考える人たちが必要になってきた。数十年かけて迷いこんだ迷路から抜け出すことが、変化を怖れる老人にできるだろうか? 四国に架かった三つの橋は、政治架橋とも呼ばれ、4兆円近い借金を抱え込んでいる。さらに、本四公団は年間600億円以上も赤字を出すお荷物となっている。三本の架橋は、三木元首相(徳島)、大平元首相(香川)、宮沢元首相(広島)たち有力政治家の地元と重なっている。三十年以上も前から行なわれてきた綱引きの結果だ。四国四県で兵庫県ほどの人口しかないというのに、なぜ三本もの橋をかけたのだろうか? すでに当の二人の政治家は亡くなっている。

 橋をかけたおかげで船会社の多くが倒産した。橋をクローズすれば赤字は増えず、船会社のいくらかは生き返る、これは実に奇妙な算数だ。すべての借財、赤字は国民からの税で賄われているということを忘れてはならない。

 徳島県は橋の通行料金の値下げに反対である。なぜなら、橋を渡って阪神方面へ買い物に行く人がふえるから、四国経済が打撃を受けるということだからである。生き残ったフェリー業界も死活問題だと危機感をつのらせる。

 ちなみに財源は、自動車重量税、ガソリン代の揮発油税であり、東北や北海道方面から反発が相次いでいるという。が、全然足りないから国債という紙を刷って、国民に借金するしかない。これこそ実際の不良債権の最たるものだが、こんな状態がとめどなく続いており、そこかしこ、多寡にかかわらずごみだめのようになってしまっているから、なまじっかなことではもうなすすべがない。

 預貯金の金利など上昇できるわけがなく、普通のサラリーマンの年収もふえる根拠がない。金の値打ちが下がって、超インフレを招かぬことを祈るばかりだ。

 こんなことを書いていると、どうにもこうにも疲れてきた。いいニュースは少なく、悪いニュースはいつの時代でも多いものだ。けれど、こんな殺伐とした時代が、自分が生きてきた時代の中であっただろうか。いいも悪いも自分はここに生きている。生きなけりゃしかたない。文句言うなら、なぜ自分の情熱と叡智と忍耐でもって政治に関わろうとしないかだって?

 言っただろう。ぼくは高校時代からのノンポリだって。政治にくみしたくないんだよ。なにっ、ただの文句言いだって! ばぁろ、ちゃんと税金払ってるよ。人並み以上にな。