真・祈りの巫女307
 シュウは少し話を省略しすぎたようで、自分で自分の話を補足することができなかったみたい。やがて大筋を理解した守護の巫女がシュウに質問を浴びせた。
「それでは、2人とも知りたいと思ってたことはまだ判っていないのね。どうして自分が旅をすることになったのか、自分たちを導いたのがいったい誰だったのか」
「ああ、判ってない。……ただ、ここに辿り着いて思ったことはあるんだ。ここにはユーナにそっくりな祈りの巫女がいる。オレが知ってる人間のそっくりさんもいるし、どうやらオレにそっくりな奴もいたらしい。つまり、オレたちは少なくともこの村に関係があるってことだ。それとこの村が現在なにかに襲われているって言葉を合わせると、オレたちが授かった力はその何かを撃退するために必要だったのかもしれない」
「つまり、私たちの村があなたたちの目的地だったと、そういうこと?」
「そうだ。それとさっき説明してくれた祈りの巫女の役割の話をあわせて、もっと進んだ仮説も立てられるよ。……オレたちは、祈りの巫女の祈りに導かれた。祈りの巫女の祈りがオレたちに怪現象を体験させた力の、少なくとも1つにあたるんじゃないか、って」
 そのシュウの言葉を聞いて、今まで静まり返っていた人々がざわめき始めた。……そうだ、探求の巫女があの時言ったの。自分たちを呼んだのはあたしじゃないのか、って。
 あたしはずっと祈り続けていた。村を救って欲しい、って。神様はあたしの願いをかなえるために、探求の巫女たちを導いたの……?
「少なくとも1つ、というのはどういう意味? あなたたちを導いた力は1つじゃなかったの?」
「導いた力は1つかもしれないけどね、オレたちはこの現象に、少なくとも2つ以上の力が加わってることを感じてたんだ。 ―― オレたちに進む道を教えてくれたのは、その多くは無関係の人間で、教えたあとに殺されてる。道を教えるだけなら殺される理由はないだろう。それと、たまにオレたちを邪魔するような力が働いたこともあるんだ。街中で狂ったヤケンの群れが襲ってくるなんて普通ならありえない」
「だけどおかしいわ。私たちの村を災厄が襲うようになってからまだ10日も経ってないのよ。もしも祈りの巫女の祈りが原因なら、どうして1ヶ月も前に探求の巫女を導くことができたの? それに ―― 」