真・祈りの巫女80
「オミ、目が覚めたのね」
「……ユーナ」
 オミの声はかすれていて、この前会った時とはぜんぜん違っていたけど、でもそれよりもあたしはオミがあたしの名前を呼んでくれたことが嬉しかった。
「ここは……?」
「あたしの宿舎よ。身体がよくなるまで、あたしがオミの傍にいる。だから安心して。痛いところはない? 欲しいものは?」
「……水、もらえる?」
「判ったわ。すぐに持ってくる」
 あたしが立ち上がろうとすると、いつのまにかすぐ傍にカーヤが来ていて、枕もとの小さなテーブルの上に用意してあった水差しを取ってあたしに手渡してくれたの。カーヤはちゃんと用意していてくれたみたい。受け取ったあたしが水差しをオミの口元に当てて傾けると、やり方が悪かったのか、オミは咳き込んでしまったんだ。
「ユーナ、あたしがやるわ」
「ええ、お願い」
 あたしはカーヤに場所を代わって、カーヤは上手にオミに水を飲ませてくれて、また場所をあけてくれる。オミはちょっと不思議そうな顔をしてカーヤを見上げていたの。
「……誰……?」
「あたしの世話係のカーヤよ。これから先しばらくオミのことを世話してくれるわ」
「具合の悪いところがあったら遠慮しないでなんでも言ってね。オミのことは自分の本当の弟だと思って世話するわ。オミも、あたしのことを本当の姉だと思っていいのよ。……もちろん、あなたにとってのユーナの存在には不足だと思うけど」
 そう言ったカーヤはもしかしたら、災厄で亡くしてしまった弟の姿をオミに見ていたのかもしれないって、あたしは思ったんだ。