あとがき(先に最終回を読んでね)
 お、お、お、終わりました。終わったんです。終わったんですよ「記憶」が。毎日毎日毎日毎日私を悩ませ、苦しめ、血反吐を吐かせながらキーボードに向かわせたあの「記憶」が。1日の仕事が終わりに近づくと、毎日「今日の記憶はどうしよう」と考えつづけ、帰り道自転車をこぎながら伊佐巳のセリフを考え、帰ってからはまずパソコンのスイッチを入れて平均1時間、ひたすら書きつづけた「記憶」が。やっと、約7ヶ月の時を経て、やっと終わってくれたんです!!
 はあ、はあ、……失礼いたしました。まあ、何はともあれ終わってくれました。いえ、本当によく書いたと思います。�Tと�U合わせて197話ですか。とりあえず200話以内で終わってくれたので、今はほんとにほっとしたというか、終わってくれてありがとうという気持ちでいっぱいです。
 今から約8ヶ月前の2月6日、パソコン初心者の私が初めてHPなるものを立ち上げたのが、こちらのサイトでした。右も左も、タグもスタイルシートも何にも知らない私でも簡単に作れるHPを発見して、おっかなびっくり登録したのが始まりです。日記をつけ始めたのですが、1ヶ月も経たないうちに挫折しまして。日記の代わりに始めた連載小説が「記憶」でした。
 何でも、始める時というのはけっこう簡単なんですよね。ウキウキルンルンしてますから、キーボードを叩く指も快調です。身体が慣れてしまうと、維持するのもそれほどむずかしくはないです。2人の会話の行方なんかまったく気にしないで書き進めてました。ところが、これを終わらせようと思ったときから、私の地獄は始まったんです。1度始めたことを終わらせるのって、ものすごいエネルギーを必要としたんです。
 まるで離婚を決意した専業主婦のようなものです。それまで書き散らしたエピソードをかき集め、整理分類して、必要な要素を書き加え、それぞれの要素に結論を無理矢理当てはめてゆく。うっかり書いてしまった一言も、既に発表されているのだから消すことなんかできません。そんなこんなで、決意から離婚まで2ヶ月以上もかかるようなありさまでした。何しろ早く終わってもらいたくて、1日の執筆量が2倍近くなってしまって、結果ガイアックスの日記ページが月末が近づくほどに重くなってしまったのはお読みになってた方の知る通りです。
 でも、とにかく私は離婚に成功しました。今はもう2度と結婚なんかするものかという心境……だったらいいのですけれど。
 やっぱり、ダメですねえ。あの、幸せな結婚生活をしていた頃の、あのときの気持ちが忘れられません。
 読んでくださっていた方が時折り書いてくださる「おもしろいです」の一言。そこから広がってゆく同じ趣味を持つ人たちとの交流。そういうものの味をしめてしまうと、離婚の苦しさなんか、すぐに忘れてしまうんです。もう1度結婚したい! 幸せな結婚生活よカムバーック!!
 ってなもんで、あっさり簡単に、私は2度目の結婚をすることにいたしました。(あ、ちなみに私は独身で、結婚のケの字もない生活を送ってます)2つ目の連載小説は「永遠の一瞬」というタイトルで、たぶんすぐに始めると思います。まったく懲りない奴だと笑ってくださいませ。でも、せめて100話以内では終わりにさせたいですね。
 そんな訳で、連載小説「記憶」を読んでくださっていた数少ない隣人の皆様。もしもよろしかったら、どうか一言だけでも私に声をかけてやってください。「読んでました」でも「終わってよかったね」でも、何でもいいです。このあとがきからコピー&ペーストしてBBSに貼り付けてやってください。その一言が、私の明日の活力になります。次の離婚のエネルギーになるんです。(いいかげん離婚から離れんかい!)
 何はともあれ、読んでくださって、本当にありがとうございました。もしも気に入ってくださいましたら、次の連載もぜひよろしくお願いします。

黒澤弥生