生命誌の世界 Ⅳ part 8
 地球上に果たしてどれだけの生物種があるのか。現代なら博物学はこのような問いを持って当然と思いますが、つい最近までそのような問いはなされなかったというのも生物学の歴史として興味深いことです。ここで注目すべきは、ニューヨーク自然史博物館のアーウィンらが、パナマにあるスミソニアン野外研究施設で行なった調査です。熱帯雨林の昆虫はあまり陽のささない地面にはおらず林冠にいるので、アーウィンは19本の樹木を選び3シーズンにわたり下から殺虫剤を吹き付け、下に置いたビニールに集まってくる昆虫を調べました。すると、なんと既知のものは4%しかなかった。ここから逆算すると、昆虫は全体で3000万種いることになります。実は多様性を誇るのは昆虫で、全体の53%を占めており、これを調べるのが全体の数に最も近くなるわけです。