2008年11月の記事


無意識の世界 Ⅱ part 13
 近年の研究では、校内暴力と、学校の大きさと生徒の人数とが相関関係にあると分かり、以来、学校でのいじめや校内暴力の問題が、過密の面から見直されるようになってきている。
 もちろん、同じように過密状態の教室にいても、いじめや暴力に走る生徒もいれば、そうはならない生徒もいる。すべてを環境の問題にするわけにも行かないだろう。
 だが、いじめや暴力を、加害者の生徒個人の心の問題とだけ見ることは出来ない。
 今までの心理学では、こういった事件の説明をするのに、加害者の性格とか生い立ちなど、もっぱら個人の内面の問題として捉えがちだが、それでは、ほかの部分を見落としてしまいかねない。
 攻撃性といった個人の性格や行動は、その生徒個人が内部に持っている特性ではなく、物理的なスペースや、後に述べる「パーソナル・スペース」つまり、環境や事物との相互作用からあらわれてくるものとみなす必要がある。
 いじめのような、複雑な心理現象の問題は、このような視点から見直してみることだろう。
コメント (0)