2008年03月の記事


近世の社会学 1 part 1
◎コントのサン=シモン批判
 鉄火の巷から一歩引き下がったところに「社会学」が成立するということは、まさにコントにおける社会学に当てはまる。オーギュスト・コント(1798~1857年)は、ギロチンが斬って斬って斬りまくった首から流れる血の湯気から、一歩も二歩も引き下がったところで学問的出発を行なったのである。彼は新時代フランスのエリート育成校エコール・ポリテクニークを退学したのち、サン=シモン侯爵の秘書となったが、やがて絶交して自己の道を歩み、1830年から42年にかけて『実証哲学講義』六巻を刊行することによって社会学の建設者となった。
 彼の師サン=シモン侯爵(1760~1825年)は、積極的な実践家であった。16歳で軍隊に入り、アメリカ独立戦争に義勇軍として参加、フランス革命中は亡命して思索に没頭し、新しい社会のあり方を考えた。
 そして結論として、18世紀の啓蒙哲学が<理性万能>を唱えて現実にアプローチする意欲も能力もなかったところに、革命の悲惨さの原因を見出したのである。
 次回に続きます。
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サボテン20種
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無意識の世界 Ⅱ part 11
 なぜ普通の人が残酷な犯罪に走るのか<匿名状態と制服効果>(続き)
 匿名状態で冷酷になるかどうかは、「制服効果」と呼ばれる潜在心理によっても違ってくる。
 心理学者のジョンソンとダウニングは、先に挙げたジンバルドと同じようなニセの電気ショックの実験で、被験者の半分に、悪名高いA結社の制服に似た服を着せ、あとの半分に看護婦のユニホームを着せた。どちらのグループも、半分は名札を胸につけ、あとの半分は匿名だった。
 実験の名目は、「電気ショックが学習にどう影響するか」で、表向きの被験者(サクラ)が間違った答えをしたとき、電気の強さの違う六段階のボタンから一つを選んで押し、電気ショックを与えるように指示した。
 すると、残虐なイメージのA結社の制服を着た被験者は、強い電気ショックのボタンを選び、人助けのイメージを持つ看護婦の白衣を着た被験者は、弱い電流のボタンを選んで押した。
 そして、A結社の制服を着た被験者は、匿名条件の人のほうが、名札をつけた人よりも強い電気ショックのボタンを選び、看護婦の白衣を着ている人は匿名条件のほうが、かえって電気ショックを和らげようとした。
 明らかに、被験者は、自分が着ている制服の影響を無意識に受け、その影響は、匿名条件で強くなっていたのである。
 どうやら、人は、自分の顔も名前も知られない状態で、特定のイメージを持つ制服を身につけると、本来の自分を忘れて、制服の”役割イメージ”に合わせてしまう傾向があるようだ。
 だとすれば、例えば、ボタン一つで爆弾を投下する兵士の場合、爆弾を受けることになる敵国の人々に、自分の顔も名前も知られておらず、戦争相手というのでその国の人々にいい印象を持ってはおらず、しかも、人を殺す兵士の制服を着ている。そんなところから、ふだんは血も涙もある普通の人でも、冷酷になるのだろうと考えられる。
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