2010年01月の記事


無意識の世界 Ⅱ part 14
大勢の人が集まるとなぜ暴徒と化しやすいのか<群集心理の異常さ>
暴動やリンチなどの事件が報道されたとき、それに加わった人々の一人ひとりについて、「残虐」「狂暴」「愚か」といった印象を持ち、『自分ならそんなひどいことをしない」とか、「自分なら理性を保てる」と思うのではなかろうか?
だが、暴動やリンチ事件を起こした人々は、一人ひとりを見ると、たいてい、普段は狂暴でもなく、理性的判断のできる人たちだ。そして、騒ぎの収まった後、自分はどうしてあんなことをしたのかと、首を傾げていたりする。
そういった集まりの中では、人は、理性が吹っ飛び、普段からは考えも付かないような行動を起こしてしまうことがあるのだ。
これが「群集心理」と呼ばれる異常心理だ。
先に、自分の顔も名前も知られていないときには、人は相手に対して残酷になれるということを述べたが、同じことが、群集心理でも起こるのだ。
群集心理では、それに加えて、全員が一つの対象に興味を向け、一種の一体感が生まれている。
集団の一部と化した個人の自我意識は、きわめて薄いものとなり、一人ひとりの責任もなくなる。
そこに、「どさくさまぎれ」や「みんな道連れ」「みんなでやれば怖くない」といった心理が起こり、普段とは違った行為に走ることになる。
このような状況では、判断力がなくなって、暗示にかかりやすくなったり、幼児的な行動に陥ったりするようになる。
群集心理は、常に有害とも限らず、この心理のおかげで、緊急時に生き延びたり、ストレスを解消できたりすることもある。
災害から逃げる場合など、理性的に考えようとすれば、どちらに逃げて良いか判断が付かないときでも、群集心理に駆られてみんなと同じ方向に逃げ、そのおかげで助かるということもあり、また、祭りのときのように、普段は抑圧されている欲求が、群集心理で解放され、ストレス解消となることもあるからである。
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