2009年02月の記事


生命誌の世界 Ⅳ part 11
 一方、共通性については、地球上の全生物はDNAを基本としているということが分かったのですから、今やどちらも来るところまで来たといってよいでしょう。ここで、それぞれの道を極めることも必要ですが、そろそろ両者をつなげられないか。ここでゲノムの登場です。
 多様な生物のゲノムはどうなっているか。最も簡単なデータとしてゲノムサイズを見ます。予想通り、簡単な生物であるバクテリアや菌類はゲノムサイズが小さく、複雑になるほど大きくなっています。それは、地球上にその生物が登場した順番になってもいます。生物の多様化は、共通の祖先からだんだんに新しい生物が生まれてきた、つまり”進化”と重なる、誰が見ても分かることです。
 ただ、ここで進化という言葉を使うと悩ましいことになります。ダーウィンの進化論が有名で、彼は自然選択が進化の要因だといったものですから、今でも多くの人が、これにこだわっています。そしてダーウィンは間違っている、私中村桂子の考えが正しいと述べて、新しい進化論を提出し論争しています。私中村桂子はここで進化という現象に関心を向けますが、論を提出するつもりはありません。ダーウィンの時代はキリスト教社会の中で進化という概念自体が説(theory)だったのです。19世紀初めに細胞説(cell theory)が出されましたが、今では生物がすべて細胞という単位からなることは認められていますので、”説”はとれました。進化も今では事実として認められています(もちろん、キリスト教原理主義はこれを認めませんが、ローマ法皇も1998年にダーウィンを認める白書を出しました)。つまり、進化も論でなく、実験・研究の結果を検討する学の時になっているのです。
 (D_D)/b
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近世の社会学 1 part 4
 コントによれば、人間のすべての指導的概念、我々の知識のどの部門も、次のような発展段階を順次通過するという。
  第一段階(神学的段階)人間精神は存在の内的性質や事物の究極的原因を求め、超自然的なものの直接的な働きによって現象が起こると考える。
  第二段階(形而上学的段階)超自然的なものに代わって、存在に内在する抽象的な力が現象を起こすものと考える。
  第三段階(科学的=実証的段階)人間精神は絶対的観念や現象内的原因などを求めることをやめ、推理的観察によって実効ある法則を発見しようとする。
 コントによれば、ヨーロッパの知識の歴史は、古代から中世を経て近代に至るまで、まだ第三段階には充分に到達しているとはいえないにしても、原則としてこの三つの段階に従って発展してきているという。この段階論は個人についても見出されるともいう。
 更に、コントはもろもろの科学を独特な分類法によって体系化しようとする。それによると、「諸科学はもっとも普遍的で単純なものから順次、特殊で複雑なものへと発展するという。すなわち、数学、天文学、物理学、化学、生物学、社会物理学(社会学)というふうに段階的に展開してゆく」とし、さらに「科学の方法についても数学的分析、観察、実験、比較、歴史的方法というふうに発展してゆく」とした。
(R_R)/b
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