生命誌の世界 Ⅳ part 7
 共通性と多様性を結ぶ
 生物の本質を知るには共通性と多様性を同時に知りたいのだけれど、その方法がないために長い間、共通性を追う学問と多様性を追う学問が独自の道を歩いて来たと言いました。ところが、ゲノムを切り口に用いれば、両者をつなげる見通しが出てきたのですから、興奮します。プラトンとアリストテレス以来の願いが叶う・・・やや大げさですが、そういってもよいと思います。
 では、多様性を追ってきた博物学、分類学は今、どのような状態になっているでしょう。分類学の祖リンネの書いた『自然の体系』(1735年)に葉900種ほどの生物種があります。今、私たちが手にする生物分類表には約150万種が取り上げられています。250年でこれだけの数の新種を見つけ同定したのですから、大変な成果とも言えます。しかし、研究者の好みや地域などのせいで、生物によってはほとんど研究されていないものもあります。
 (R_R)/b