近世の社会学 1 part 4
 コントによれば、人間のすべての指導的概念、我々の知識のどの部門も、次のような発展段階を順次通過するという。
  第一段階(神学的段階)人間精神は存在の内的性質や事物の究極的原因を求め、超自然的なものの直接的な働きによって現象が起こると考える。
  第二段階(形而上学的段階)超自然的なものに代わって、存在に内在する抽象的な力が現象を起こすものと考える。
  第三段階(科学的=実証的段階)人間精神は絶対的観念や現象内的原因などを求めることをやめ、推理的観察によって実効ある法則を発見しようとする。
 コントによれば、ヨーロッパの知識の歴史は、古代から中世を経て近代に至るまで、まだ第三段階には充分に到達しているとはいえないにしても、原則としてこの三つの段階に従って発展してきているという。この段階論は個人についても見出されるともいう。
 更に、コントはもろもろの科学を独特な分類法によって体系化しようとする。それによると、「諸科学はもっとも普遍的で単純なものから順次、特殊で複雑なものへと発展するという。すなわち、数学、天文学、物理学、化学、生物学、社会物理学(社会学)というふうに段階的に展開してゆく」とし、さらに「科学の方法についても数学的分析、観察、実験、比較、歴史的方法というふうに発展してゆく」とした。
(R_R)/b