近世の社会学 1 part 3
 コントの実証主義と三段階
 サン=シモンと別れたのちコントが専心したのは、彼のいう社会物理学すなわち「社会学」を体系的に完成させることであった。彼が生涯をかけて執筆した『実証哲学講義』六巻の内容は、序論二講、数学十六講、無機体の科学(天文学、物理学、科学)各十講、有機体の科学二十四講(生物学十講、社会物理学十四講)で全七十二講からなっている。
 1826年から講義を開始し、その最初の部分を1830年に第一巻として出版、その後講義が進捗するごとに出版して1842年に全六巻の完結を見たのである。
 本書が目指すところは、「すでに実証によって成果を生み出している諸科学をその相互連関に基づいて再組織し、そしていまだ実証科学として確立されていない社会物理学(=社会学)を確立し、それらすべての実証的諸科学の体系化としての実証哲学を建設すること」にあった。コントがこの体系化に当たって理論的基礎としたものは<三段階の法則>と呼ばれるもので、この講義の序論もその説明に当てられている。
 続きは次回以降です。