生命誌の世界 Ⅳ part 9
 共通性と多様性を結ぶ
 それまでは自分の好みで研究をしていた博物学者がなぜ今になって地球全体の様子を知ろうとし始めたのか。二つの理由があると思います。
 最初に述べたように、人類が宇宙に飛び出し、地球を一つの星と考えるようになったこと、一方、環境問題から、生物種がどんどん消滅しているという報告があり、今のうちに調べておかなければ消えてしまう生き物があるという気持ちになったことがその理由でしょう。この概念がない間は全体を調べようという気持ちは起きなかったのだと思います。多様性の宝庫といえば熱帯雨林、そこの調査が行なわれたわけです。以来多くの研究者がその重要性に気付き、東南アジアなどでも研究が進められました。カリマンタン島では昆虫類が五千万から八千万種いるというデータが出ました。多様性について何も知らなかった・・・人間、あまり生意気なことを言ってはいけないという反省材料です。