生命とは何か?その9~ヒトゲノムの全合成が生命解明の道を開く
今回は、理化学研究所生命システム研究センターグループディレクターである 上田泰巳(うえだ・ひろき) 先生にご登場願いましょう。
先生は、概日時計などをテーマに生命システムの「時間」の解明に取り組まれています。

まず、最重要な特徴としては、多様な物事を、有限な資源を用いて表現するという抽象化能力を挙げています。
ヒトのDNAに書き込まれている遺伝情報であるヒトゲノムをつくれるようになれば、「抽象化」の仕組みを調べられるようになると考えられています。
iPS細胞に始まる生きた動物をつくることは、個体全体をつくるのはまだまだ先とみています。
また、ヒトを生み出す能力を持つような構造体を直接再構成する研究は、倫理的にも控えることが必要と思っているようです。

卵子や精子は、少なくとも受精させる前は、独立した生物として扱っていないのだから、多細胞生物の個々の細胞を、独立した生命体とみなす時が来たとは考えていなく、その必要もないとみています。
「細胞の学習則」つまり、同じゲノムを用いて違う細胞に分化する能力を獲得する仕組みを解明することで、「寿命」・「老化」の制御や、その限界を知ることにつながると想像しているそうです。

先生はゲノムの解明が重要だとみているようですね。
次回で、このシリーズは終わりです。
そのあと、人間原理という宇宙原理についてみていこうと思います。
よろしくお願いいたします。

編集 えんさん : ここから興味深い法則性が見え隠れしますが、時間論の諸パラダイムというテーマを掲げて、日記/コラム、ブログ等で扱おうと思います。ご期待あれ!!
編集 えんさん : 本川達雄さんの『ゾウの時間ネズミの時間』の説明の引用;動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、サイズによらず同じなのである。
編集 テラマチ : 時間の概念 面白い題材ですね 大きな生き物と 小型の生き物 寿命に差がでますが 時間の経過の仕方に 大きな違いが有るのでしょうか 非常に興味がわきます